紹介

□ヤドリギの下を
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ヤドリギの下を



クリスマスに初雪が降り、わぁ、ホワイトクリスマスだね☆
とか言ってキャッキャッチュッチュとはしゃぐカップルが増えていくのを目にした今日この頃。我が家には二つのカップルがいたので取り合えず爆発しちゃえばいいとか思ったりする
爆発シロ

と、真顔で言っていた紫姫がなぜか懐かしく感じる今日この頃
まぁ、たった数分前だけど

友達と遊びに行って帰ってきてただいまのあいさつもなしに、リビングに居た俺たちを見て言いだしたのだ
俺と百佳、姉貴と秋良さんの四人でいたからだろう、全く、我が妹ながら吃驚だ



「あー…そっかー…今日ってクリスマスね―。忘れてたわ」

「俺も、頭からすっぽりだったな」

「いやいや、こんなにクリスマスムード満載のこの家の中でよく忘れられるな二人とも」

「流石に、この部屋でクリスマスを忘れることって出来ないと思いますよ…」



テレビの隣にはでかいクリスマスツリー
とある一角には靴下
そしてまたとある一角にはサンタの人形
イルミネーションもばっちりなこの家で、よく忘れることができるなおい

思わず二人を感心していたら、紫姫が部屋から凄い勢いで出てきた
なんだどうした?また爆発シロとか言うんじゃないだろうな



「ヤドリギだ!ヤドリギを燃やしつくせ!!!」



違ったけどなんか違わない感じがする
にしても。ヤドリギだぁ?
それがどうしたんだよ…
紫姫の突然の登場で驚くも、紫姫の突然の発言に眉を寄せる



「ちょっと、なに?あんたどうしたの?」

「実姫ねぇ…実姫ねぇは知ってた?クリスマスにヤドリギの小枝を吊るす飾りの事」

「一応、飾りとして有るのは知っているけど…」



紫姫の唐突な問いに、珍しくも姉貴が戸惑った様子で答える
あぁ、どうしよう、俺、意味が分かってしまった
つか、姉貴はしらねぇのかよ…
結構有名なんだけどな、コレ
とか思いながら、クリスマスツリー近くに飾ってあったヤドリギの小枝を取り外す
ガチで燃やされでもしたら何が起きるか分かったもんじゃない



「ヤドリギの飾りの下を通った男女はキスするんだって。そしてその場面を見てしまった私は取り合えず死にたい。非リア万歳」



頭を抱え出す紫姫に、百佳と秋良さんが戸惑いだす
ほおっておけばいいものを
この二人は優しすぎると思う



「BL的にはおいしいわねー」

「…急に何を言い出すかと思ったら…少しは自重したら?」



秋良さんに激しく同意する。


そしてあれだ、百佳と紫姫はうなずくな
BL的にはね―
とか言うな。




----family----





いろんな事があって、やっと紫姫が落ち着いたのはもう夕飯の時間だった
どんだけコイツ衝撃受けたんだよ



「味はどうかしら?グラタンってあまり作らないから…」



少し困り顔で母さんが言うが、普通にうまい
父さんなんて、凄い笑顔で食べてるから



「いつもと同じようにおいしいですよ。このマッシュポテトも、作ってみたいですもん」

「ふふっ、そう言ってもらえると嬉しいわね。なら今度、隠し味を教えましょうか?」

「え、良いんですか?」



母さんからレシピを教えてもらう約束をする事ができた百佳が、こっちを見る
凄い笑顔だ

よかったな

という意味を込めて頭をなでると、斜め前から「あまーい」という古いネタが…
本人も封印したネタを使うなんて、こやつ、やりよる





----family----


そんなこんな母さんが焼いたアップルパイを食べたりして一日が過ぎ、それぞれ個人で分かれる形になった

実は百佳と秋良さんはこの家に泊る予定だ。
客室が足りなかったが、部屋はそれぞれパートナーの部屋で止まればいいじゃん。とか言う紫姫の一言でパートナー、つまり俺の部屋に百佳が泊るなう

…未だに「なう」の使い方がわかんないんだよなー



「んー…実都の部屋に泊るのって初めてだよね」

「そうだな」

「ふふっ、クリスマスを彼氏と過ごすのって初めて」

「…おれもだな。まぁ、今まで彼女なんてずっといた事無かったんだけどな」



俺はベットに、百佳は椅子に座りながらほのぼのとした時間を過ごす
こんなほのぼのとした時間も悪くないな
基本、俺と百佳は落ち着いた空気だけど、周りがうるさいんだよなー



「あ、ねぇ、実都、こっちおいで」

「ん?」



おいでおいで、と手を招かれるままに百佳の所に行くと、床に座らされた。
さながら、女王と騎士の様な格好に、少し恥ずかしさを感じる



「なに?」



首をかしげると同時に、頭にカサッと音を立て何かが置かれる
そして、それが何かを確認する前に、百佳の顔がぼやけて唇に当たる





「えへへ…これって、ヤドリギだよね?」






そう笑いながら俺の頭の上からヤドリギを取る
あぁ、さっきの紫姫の時に持ってきていたやつ、か



「ビビらせんな」

「ふふっ、ごめんね?」







思わず、真顔になるが多分耳は真っ赤で…
あぁもう、俺、今日こいつと普通に眠れんのか?






男は狼なんだって、知ってんのか?






--------family--------





あまーい。

の一言に尽きる

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