紹介

□A to Z
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A to Z

一秒、六秒、十三秒、三十七秒、五分、二十分、一日…
ずっと、ずっと忘れようと思うたびに嫌なことを思い出すんだ


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今日の百佳は少し、いやかなり可笑しい
家に遊びに来た百佳を見て、そう思う


いつもなら姉貴達と一緒に腐会やらなんやらをしたり、ただ単に俺の部屋でまったりしたりするのだが、今日は俺の部屋の隅っこで膝を抱えて―体育座りって言うのか?―折り曲げた膝の上に顔をうずめている
何が、あったんだ?


こんなときにどうも言葉が出ないのはとても悔しい
隅っこに座る百佳を見てそう思った


-------family-------


六月十日


今日はとある人の命日だ
私がとても心を許した大切な友達の


数年前、彼女は、優子は突然死んだ




私の目の前で


本当に突然だった


一緒に街を歩いていたら道路に飛び出す二人の子供
子供が飛び出した理由はなんだったか?
いまじゃぁ細かいことは思い出せない
覚えているのは耳に纏わりつくような高い音と赤い血と季節外れの陽炎と



「大丈夫だよ」


そう呟く優子だけ


木の色も空の色も道端に咲いていた花の色も
何も思い出せない
覚えていない


全てが、灰色の世界だった


見えていたのは覚えていたのは揺らぐ赤と微笑む友達



--------family--------


「百佳、」


私が実都の家に行って、実都の部屋の隅っこでうずくまっていたら、やっと実都が声をかけてきた
別に、待っていたわけじゃないけど
少しだけ、実都の声を聞いて落ち着いたような気がした


「ん?」
「ん?じゃないよ…どうした?」


いつもよりゆっくりとした、まるで子供をあやすような声で私に問いかける
あぁ、やっぱり
実都といると落ち着くな


「……別に、何も無いよ。ただ、」

「ただ?」

「悲しいだけ」

「、そう」


実都はそれだけ言って私に寄り添った
子供の様に体温の高い彼
それぐらいがちょうどいいような気がした



ねぇ、知ってる?
「子」と言う字の意味を
一と了を合わせて作られたこの漢字の意味は「最初から最後まで」


貴方は本当に「最初から最後まで優し」かったね



大切な人はいっぱいいるけれど
心許せる人はたった二人なんだ
悲しい事に





To you who are important


You who were tender from beginning to end.
The command that you followed is strongly valid.


From me who am weak



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大切なあなたへ
最初から最後まで優しかった貴方。
貴方の守った命は、強く生きています。
弱い私から
--------family--------

良ければこれも小指のキズアト

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