紹介

□迷惑の具現化
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迷惑の具現化

あぁ
これは
頼む夢であってくれ


思わず、痛くもない頭を抱えた


いま目の前で起こっているのは転入生と一部の生徒会による愉快な茶番劇
それに興奮したように、いや、興奮しながら罵声を浴びせる生徒達


こいつらは、何をしたいのかが分からない
分かることは俺の仕事が増えるということか…


小さく溜息をつきながら一緒に昼飯を食べていた副委員長と騒ぎの中心に向かう
隣から俺よりも深いため息が聞こえたがそこは無視する
俺もそれぐらい大胆にやりたい


転入生なんて、俺が今まさに関わりたくない人だろう
あの性格でよく今まで生きてこれたと関心出来るほど頭が可笑しい
まず話が通じないのが痛い
それに、転入生の信者である生徒会(一部)も関わりたくない
わざわざ冷たい目線に口から出る罵声、分かりやすい嫉妬を浴びるのは嫌だからな
まぁ、その中に一人だけ常識人がいるのが救いだろう


小野寺 藍都


高校からの編入で有りながら生徒会に入った、話題性が高い生徒だ
入学当初は少ない高校からの編入生、しかも顔が整っているというもので藍都は目立った
それから異例の生徒会入り
初めて藍都を見たときは無口だな、と言う認識だった。
最近、藍都と関わって俺の中ではずいぶんとそんな要素はなくなったが
今はそんな事どうでもいいか



「おい、騒ぐのなら余所でやれへんのか?」


中心に近づき、隣に立つ副委員長、南 琥太郎(ミナミ コタロウ)が話しかける。
あぁ、関わりたくない


「あっ!琥太郎(コタロウ)!!!お前も遊びに来たのかっ?」

「日本語ぐらい理解しろや」

「なっ!友達にそんな事言ったらダメなんだぞっ!!」

「どエライうるさいんやけど、いちいち語尾に感嘆符つけんでくれまへんか?」


「か、感嘆符って何だよ!難しい事言うなよ琥太郎!!!」

「…俺の名前を呼ぶ許可はしてへんのやけど」


見事な舌戦を終えると、一歩前に出ていたコタが俺の一歩後ろに立つ
つまり、次は俺がやれ。と…


「なんで名前を呼んじゃいけないんだよっ!!!!」

「本人がそう言っているんだから呼ばなくても良いだろう。それよりもお前ら、時と場所を選んで遊んだらどうだ?ここは騒ぐ場所では無くて食事をする場所だ」


日本語の通じない編入生は総スルーで。
話しをするのも話を聞くだけも時間と文字数の無駄だ。


「そんなの、私達の自由でしょう?」


こいつも日本語が通じなくなったのか
発言者の副会長に驚く
そうか…
ついに感化されたか。編入生という宇宙人に…


「西園寺、変なこと考えておらへんで早くこの件片付けてぇな」

「ああ、すまない」


なぜわかった


「そうだよぉー俺たちは騒いでないしぃねぇー」

「…周りからしたら十分騒いでいるんだ。もう食事は終わっているのだろう?早くここから立ち去れ。」

「「その言い方は無いんじゃなーい?」」

「チョー上から目線だよね?うみぃ」

「だよねー僕らより下の立場のくせにね―?かいー」


「あッれ?可笑しいなー俺は風紀と生徒会は同じ立場だと思っとったんやけど」


もうこいつらはほおっておいても良いだろうか?
また素晴らしい舌戦を披露しだすコタをほおっておいて、ここを片付けよう。
と言う計画を頭の中で建てていたら、意外な人物からの発言で場が静まった


「ここは早く違う場所に行った方が策だと俺は思うんですが…なぜそこまでして風紀の皆さんに突っかかるのか意味が分からないし、風紀と生徒会は対等だと暗黙の了解でしたよね?下に視るのは別にどうでもいいと思いますが、それを発言するのはどうかと思いますよ先輩。それに、今はあんたらが下、だろ?ろくに仕事もせずにそこの編入生と遊んでばかり、それだけに飽き足らず、こういった公共の場での迷惑行為、今の状況だと十分あんたらの方が下だと思うが?」


「藍都っ!!俺の事は名前で呼べって言っただろ!!」

「今はそれは問題じゃないだろ。今は生徒会と風紀について言っている。お前が出しゃばる時じゃないんだよ、黙れ」


いつもは無口な藍都が、こんなにも公共の場で喋るのは初めてではないだろうか?


いつもと違った藍都に、周りがざわつきだす
場を収めようとした発言がまさかの結果だな


「…」


やめろ。俺を見るな
助けて
そんな意味を込めた目で見てくる藍都
そんな目をしても俺はあまり活躍できないと思う。
この状況だと、コタが妥当だと俺は思う


「てか、藍都ってそんなに喋れたんだなッ!!!なんでずっと喋らなかったんだよっ!!」

「おwまっwww俺が言っていた事忘れちゃったの?wwそうだな―うーん…俺が今日この場で素を出したのが姉貴達にばれたら死亡フラグが立っちゃうんだよねー…まぁ、いっか。うん。で、どんな質問だったけー?」

「なんでずっと喋らなかったんだよっ!!」

「あぁ、そうそう、それね―…別に良くね?喋りたくないから喋らない、ほら、これが理由だけどぉー?何か言いたいことは?まぁ、それに俺は何も発言はしないけれどさーw」


「なんかどエライ凄いね〜、書記君。とりあえず俺が納めてきますねー」

「おう、よろしく」

「相変わらず、なんぎな事が嫌いやねー」




ひとまず、その場はコタに納めてもらった
俺はこういうのが苦手だからな…
なんで俺、風紀委員長なんだろう…


と、まぁ、今は風紀室の通称説教部屋で現在進行形で編入生がコタに説教されている
風紀員会で怒らせたらいけないのはコタだと言われているのを頭の片隅で思い出すが、そんなのどうでもいいと思う
てか、なんでコタが委員長じゃないんだろう


そんな疑問を持った俺は今にもキレそうな、否もうすでにキレている生徒会の奴らを客用のソファで留めている真っ最中である
ちなみにここには小野寺はいない
あいつがここにいたらこいつらは騒ぐしな、別室に待機中だ
ついでに反省文も書かせている。正論を言ったが騒ぎを起こしたのは小野寺もだからな
頭を冷やすのにも最適だろうし


「ですから、なぜ宙がこの様な事にならないといけないんですか?」

「そりゃぁ、問題を起こしたからだろ」


すました顔した副会長が言う
正しくは問題を起こしたのはこいつらなんだがな


副会長、一条は編入生に現を抜かす前までは王子様とか何とか言われていた
仕事も真面目で人当たりも良かった


「それってさぁー藍都もだよねぇ?」

「「僕らもそうだと思うな―」」


そこに会計、庶務が乗り出した
うるさいな
会計、二宮はチャライが仕事は真面目にやっていたような気がする
まぁ、気がするだけだが
庶務の双子も、あまり仕事は出来ていなかったが、会議などの絶対に険悪のムードになる時に場を明るくしたりととてもいい印象があったが…


恋は人を変えると言うのは本当だな


「小野寺は別室で反省文を書かせている」

「なら、宙も反省文だけでいいでしょう?」

「規模が違うだろ。それに、今回の説教は今までの物も含まれている。器物破損に軽度の暴力、今まではお前らがかばって注意するにも出来無かったが、今回でまとめて注意することになった。
…もしかして、お前らは知らなかったのか?お前らにはもう支持率なんて一パーセントも無いと言っても良いぐらいだぞ。仕事もしない、編入生を明らかに特別扱い、その上生徒会特別の従業免除などを使ってのサボり…これは俺達風紀でも問題になっているんだがな…それを、知らなかったのか?」


「「「…」」」


何も言えない
そんな感じに口を閉ざす生徒会に、呆れを覚える
こいつら、やはり何も自覚していなかったのか


そんなときに、隣の説教部屋のドアが開き、中から疲れた様子のコタといかにも怒ってます!な編入生が出てきた
コタをあんなに出来るなんて、やっぱ編入生って宇宙人なんじゃないか?


「晴人(ハルト)っ!!聞いてくれよ!!さっきから琥太郎がいじわるするんだよ」

「…」

「もう出て行っても良いぞ。コタも満足したみたいだしな」


そう俺が言うと、転入生の話を聞かずにすぐに転入生を連れて部屋から出て行く


「…椿、何を言ったん?」

「普通に、いつもお前らが愚痴を言っていることを言っただけだが?」

「うわぁ、それはひどい事をしたな」

「そうか?」

「わい、書記君呼んでくるわ―」

「あぁ」





わいな、天然ほど怖いものはないと思おったんや。


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