紹介

□レイさん、あんた学校に何しに来てるんだ
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レイさん、あんた学校になにしに来てるんだ


パコーン
キャー
わー


ピッチャーの投げた球がバッターの振ったバットに見事に当たり、遠くへ遠くへとボールが飛ばされる
それを教室の窓側の席で、頬杖をつきながら眺める
耳から入り流れるのは教師の説明とレイさんの興奮したような声だけ



なんでこの人、学校にいるんだろう



必死になって説明する数学教師が出した問題を解きながら、窓際に座るレイさんをちらっと見る
運動場でやっている野球に興奮しているレイさんは、聞いていた年齢よりも子供みたいだ
ちなみに、二十代前半なんだって
詳しくは教えてくれなかった


てか、ほんと、この人なんで学校にいるんだろう
問題を解き終わったので、レイさんを見ながらそう思う
私が朝に登校している時にはいなかったんだけどな…
朝、教室に入ると私の席に、いや、机に座っていやがったのだ。この半透明野郎が。
あぁ、そうだ、クラスの皆はレイさんの事が見えないらしい
実に羨ましい


『…んー紫姫、ここ、掛け算をミスってるよ』

「…。あぁ、ほんとだ」


みてみると、6×7が21になっている正しくは42
語呂的には合ってる感じがするんだけどね
私は7の段が苦手じゃなくて6の段が苦手です。
藍都もそうだと思う。



「レイさん、何処が勝ったの?」

『ホームラン打たれた方』



妙にしょぼんとしだしたので、応援していたのはホームランを打った方なのだろう
何を基準に応援してたんだ



『なんかさ、ホームランを打った方が見た感じ弱そうだったからさー』



心を読むな



『弱い方が勝ったら面白いじゃん?さっきのホームランもさ、打たれたから、投げた方が本気出し始めたし。本気な奴にすました顔してかかって来る奴ってさ、無性にイラ付くんだよね。後で痛い思いをするのに。』

「…」



急に真面目な顔して言いだすもんだから、黙るしかない
何を急に真面目なことを真面目な顔で言うんだ


何を急に、そんな悲しそうな顔をするんだ


初めて見る
そんな表情



いつもは変なことを言うのに
いつもはへらへらと笑っているのに


この人は、いや
この幽霊はこんな表情も出来るのか




とか、フラグを建ててみた


まぁ、実際本当にそう思ったが
この幽霊もこんな表情ぐらいするだろ
と言うのが私の考えです。


「で……小野寺、お前どこ見てるんだよ」

「後数分の自由を見ています」

「休み時間まであと20分もあるぞ」

「流石先生、私が何を言っているのか分かるだなんて…流石先生」

「小野寺、この問題の答え黒板に書いてけ。その次が桐島、鬼島、桃島、寺島の順に書いてけー」


見事なスルースキル。
そして島ばっかだなおい。私以外皆島が付いてますよww


『鬼島と桃島wwwww桃太郎かよww』


…あぁ、確かに
でもこの二人、異様に仲良いんだよね
もしかしたら磁石的な感じかもしれんな
桃太郎の世界だったら反発しあい、現実だったらめっちゃくちゃ仲が良い


さて、この問題は、さっきレイさん指摘された問題ですね―
さっき指摘されててよかったわー
これだけはレイさんに感謝だね


黒板に答えを書いて席に戻ろうと踵を返す



うん
ほんと
吃驚だね


この人、いや、違った
この幽霊、さっきまでちゃんと窓際に座って無かった?
いや、窓際に座るのも良くないけれど
うん、なんでわざわざ私の机に座った?


思わず立ち止った私に、先生がどうした?と声をかけてくるが、全力のスルーをさせてもらい、席に向かった


「じゃまですよ」

『えー。大丈夫でしょ。』



なんだかもう、まぁ、いっか。とか思う私にイラつく



font color="#674598">これは嫉妬?
いやいや、何に対しての嫉妬だよ

じゃぁ、……なに?<



-----------family-----------
タイトルはお題サイトのfisika( http://fisika.at-ninja.jp/index2.html  ) 
さんから「ギャグ的学校生活『お前、学校になにしにきてるんだ』」
をお借りしました。

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