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□90度の考え
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90度の考え



「貴方は、神様を信じますか?」




夏休み中盤、俺は父さんの店の手伝いをしていたら、その人は現れた
なんかもう、いかにも。な感じのその人は、父さんのお勧めを頼み、一人でぼけーとしていたら急に冒頭の言葉を言いだしてきた
言いだしてきた。といっても、俺にでは無い。カウンター越しの父さんに、だ。


ちなみに、父さんが神やらなんやらに興味はないことはとっくの昔に知っている
昔、家にやってきた勧誘の人にばっさりと「俺が神だ」と言っていたのを知っている
目の前でそれをやられたから
勧誘の人は唖然しながらも帰って行ったのを覚えている
あの時ほど可哀そうに。と同情したのはない


さて、父さんは大事なお客様にどう切り返すのだろうか?
俺は少し、わくわくしながら二人を見返した


「そう、ですね―…お客さんは信じてるんですか?」

「え?ええ。まぁ。」


おぉっと、まさかの質問がえしにお客さんはビビった―



「そうですか。」

「それで、貴方は信じているのでしょうか?」

「そうですね―。都合によっては。ですかね?」

「え?」



父さんは、動かしていた手を止めて、初めてお客さんの目みて、顔の前で手を組みながら話しだした
それはもうとあるえばぁーのおとーさまの様な姿だ
実は、父さんのこの姿は真面目な話をするときの癖だ
本人は自覚してないだろうけど



「そうですね―…んー…俺は願い事もしますし頼みごとも質問もします。ですが、あまり信じてないんですよ…皆さんがよく言う神様の事。
願い事をしてもどうせ神は叶えてくれはしないでしょう?その願いは実際は自分や周りの人間がした事。頼みごとも質問もそう。
それは自分という人間と周りという人間がやっていることなんですよ。まぁ、人間が生まれたのは神様のおかげだと言われたらどう仕様も無いんですけどね―。
と、まぁ、長々と話しましたが、俺の言いたいことは、俺にとって神様は人間なんですよ。ですから、お客さんの言う神様はあまり信じてないんですよ。」




「…」






開いた口がふさがらない


お客さんはまさにそんな感じだった
ポカーンと口を開け、じっととーさんを見つめる
こんな事を言われるのは初めてだったのだろう
俺も初めて聞いた
たぶん、とーさんはその場しのぎでこの事を言っている
ただの勘だけど
とーさんがこんな事言うなんて似合わなすぎて笑えるし…



「そう、ですか…そうですね。そう言う考えを持つ方もいらっしゃいますよね。確かにそうですね…貴方の考えで、私の考えも360度変わりました。ええ。ありがとうございます。このコーヒー、とても美味しかったです。では…」




そう口早に言いながら代金を置いてすぐに出て行った


あぁ、あの人はもうこの店に来ないんだろうな
そう思った
とーさんもそう思ったのだろう。いつも言う「またお越しください」の言葉を言わなかった


「ずいぶんと面白い客だったな」

「ん?」

「貴方の考えで、私の考えは360度全く変わりませんでした」




180度、私の考えは変わりました
360度、私の考えは変わりませんでした



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