私は君を忘れない
□ハード・チェイス
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クロスの開発した、新たなるシステムは効果抜群だった。名無しさんの視角に敵が捕らえられればすぐに銃弾は発射され、死んでいく。
『そこっ!次はこっち!そしてっ、おっりゃっ!』
意思と連結した無駄のない動きでバジュラたちを殲滅させる。
『ルカ、あとどんくらい残ってるの?』
「この宙域にはもう居ませんね。流石は名無しさん先輩、僕の出る幕は無かったですね。」
『そんなことないよ!ルカが居場所のデータ送ってくれなきゃ、ここまではできないよ。』
そう言って今度はクォーターへ通信を繋げる。
『スカルAよりクォーターへ。この宙域のバジュラは殲滅したわ。』
「そうか、ご苦労だった。それではスカルAとスカル3は帰還してくれ。」
「『了解』」
艦長からの指示に二人は帰還した。
帰還すれば、格納庫には既にミシェルもオズマも帰還していた。
だが………
『ねぇ、ギリアムは何処にいるの?帰ったよって、報告しないと、凄く心配性だから。』
名無しさんは声を掛けたが誰も何も言わない。
『あれ?まだVF25-F、戻ってないじゃん。』
格納庫の何処を見回してもVF25-Fは見当たらない。
『ミシェル、援護にいったんじゃないの?
ねぇ、ねぇってばぁ!』
名無しさんはたまらずミシェルを揺らす。
でも、ミシェルは何も言わない。何も言わないまま、顔を背けるまま。
『オズマ、何で黙ってんの?ねぇ、ギリアムはどうしたのよ。』
「ギリアムは……………ギリアムは、死んだ。」
シンダ?
しんだ?
死んだ?
あのギリアムが?
人一倍心配性で、強くて、頑固で、そんで優しくて、アタシを拾ってくれて、こんなアタシを受け入れてくれて、娘として育ててくれて、アタシにはいっつも死ぬなよって言う、ギリアムが?
『嘘でしょ? 嘘だっていってよ!そんなはず、そんなはずないじゃん!何かの、何かの間違いだよ!そうだよ。アタシ、行って探してくる!きっと、いつもみたいに、ヒョッコリ帰ってくるんだから!わりーわりーって、そう言ってヒョッ「死んだんだよ!!!!ギリアムは死んだんだよ!!!!』」
オズマの声が響く。
そこにいた皆が息を飲む。
「俺やミシェルがアイランド1に着いたときにはもう、ギリアムは死んでた。変わりにヤツの機体には素人小僧が乗ってた。後で機体の周りをみたが、ギリアムの遺体が見つかった。」
『な んで、 何で死んじゃったんだよぉー!ギリアムゥー!
アタシを、アタシを一人にしないでよぉ!!!!』
マクロスクォーターの格納庫に、名無しさんの悲痛な叫びが響き渡った。