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□ViVi
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「明日でお別れだね、あんたとも。」
明日は私が処刑される日だ。
牢屋の鉄格子越しに、二人背中合わせで座る。
私の手首と足首には、海楼石の錠がはめられている。
「・・・。」
「ねぇ、青キジ。私が死んだらさ?あんたは・・・泣いてくれる?」
「・・・。」
青キジはしゃべらない。
「私は、あんたが死んだら泣くだろうなぁー・・・だって、今の私にはあんたしかいないし・・・。」
「・・・。」
しゃべらない男は、たくさん見てきた。
「まぁ・・・明日私はいなくなっちゃうんだけどさ。あんたよりも先に。」
「・・・。」
悲しんでくれているのか、
哀れんでいるのか、
呆れているのか、
黙ってちゃ、分からない。
「ねぇ、青キジ?」
「・・・なに?」
「いや・・・もう、話すことなんてなくなっちゃったね・・・。」
「・・・そうだなぁー」
いつだって、背中合わせで話すだけ。
今日の天気、今日のお昼、今日あったこと、今日は何をサボりにきたのか、
明日も来るのか、あんたの趣味、あんたの好きなもの、私の趣味、私の好きなもの、
あんたが嫌いなもの、私が嫌いなもの、あんたが苦手なもの、私が苦手なもの、
全部、全部話してしまった。
あと、そうだ・・・
あんたが、私が、今、一緒にいたいと思う理由。
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