黒子 長編
□高校1年五月
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「お前はさ、生きてるってどういうことか知ってるか?」
これは、何気ない零崎との会話の一つだ。あの時、私達はただ、ただ、無意味な問いに関して語り合っていた。
ーーーまるでそこまで長くはない人生を人格を思考を想いを確認するようにーーー。
ーーーそこには居ない誰かを思う出すようにーーー。
「傑作だぜ。」
零崎の問いに、あの時の私がなんと答えたのか、私はもう覚えては居ない。だが、彼が私の返答を聞いたときそうやって笑っていたのは覚えている。
ーーー否、彼はーーー零崎は何時でも笑っていた。何時でも、何処でもそれこそ、彼が人を殺している時でさえ、きっと彼は笑っているのだろう。
ーーー笑わない私と笑い続ける彼ーーー
ーーー手は汚さず殺し続ける私と手を汚し続ける彼ーーー
全く似たところのない、性別すらも異なる私達だったが、確かに私達は鏡像同士だった。
だからこれは私自身の物語で、鏡に映った鏡像の物語だ。
私と王たる赤色が関わった、くだらない物語だ。