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□1万打企画
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「自分、もうデートとかはしたんか?名無ちゃんは奥手そうやし、日吉はそういうのに疎そうやし、先輩は心配で心配で・・・。で、どうだったんや?」
「・・・別に変わったことはしていませんよ。休日に名無の仕事場に行って、休憩がてら話したり、ゆっくり過ごしているだけです。
・・・って何ですかその顔。文句でもあるんですか?」
日吉がしぶしぶ話し出すと、近くにある忍足の顔がみるみるあっけにとられ始めた。自分から聞いておいてその反応は無いだろうと、じろりと日吉が睨むと、忍足は俯きぶるぶると震える。そして、震える声でぼそりと呟く。

「あかん・・・。あかんで日吉・・・。」
「は?」

小声過ぎて聞き取れなかった言葉に日吉は疑問符を返すが、忍足はそれを無視するかのようにガバリとすごい勢いで顔を上げ、日吉の両肩を掴む。突然のことに日吉は驚く。

「何なんや!その老後の夫婦の様な過ごしたかたは―――‼‼‼‼。自分らまだ花も恥じらう高校生やろ‼‼‼‼青春真っ盛りやろ‼‼あほかいな―――‼‼」
「なっ!関係ないでしょう。」

凄まじい忍足の嘆きに完全に日吉はドン引きだった。もともと変わったところのある先輩であったが、これは無いしだめだしされる言われもない。だが、日吉の抗議も完全に発狂している忍足には聞こえてないのかまるっと無視をされ、日吉はむんずと右腕を捕まえられた。

「安心しいよ!日吉!俺らが忘れられないデートプランを用意したるで!!名づけて‟青春デート大作戦や″まっとり名無ちゃん‼‼お前の彼氏に恋愛のイロハを叩き込んだるで―――!!。」
「完全に大きなお世話です!!。ていうか何する気ですか!。」
日吉の空しい講義は、完全にヒートアップした忍足に聞こえることは無かった。
・・・ていうか、完全にキャラが変わっている気がするのは決して気のせいでは無い気がする。

          *

かくして、忍足に引きずられ、協力者基、完全に悪乗りした跡部を巻き込み、日吉はその日は部活にも出られず(跡部により、日吉は特別特訓という名目になった。ある意味間違ってはいない)週末の土曜日に名無とデートすることとなった。その連絡もスマートフォンを奪い取られての無理やりである。あとでフォローしなくてはと日吉はため息をついた。
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