夢の欠片2

□………最悪だ。
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修学旅行……。



それは学生の誰もが「楽しい」と答える3大イベントの一つに当てはまるものだろう。
その時期が近づいてくると、クラスの話題の大半はそのことについて話すのではないだろうか。
私のクラスも現在その話題で持ちきりとなっている。
皆、それはそれは楽しそうに話しているのが分かる。
ただその中に唯一気乗りしない人物がいる。
そして、今すぐにでもこの場を離れて家へと直帰したいと切実に願っている人物もまた約一名。
そんな楽しいイベントを楽しまない奴は誰か。


語り手として現在話しているこの私だ。
理由は………まぁ、単刀直入に言うと興味がない。そして嫌だ。
興味が湧かないというのはさておき、問題は後者の「嫌だ」というほうだ。
原因は……これだ。


「…………。」
健「………。」
完「♪」
康「………。」
誉「………。」
渚「………。」


………別に空気が重たいだとか一人だけKYな奴がいるだとかというわけではない。
むしろ静かなのが有難いくらいだ。
…………一人KYな人がいるが。
だがそれは別に気にしてはいない。
問題はこっちだ。


女1「ねえねえ、小鳥遊さんの列の男子たちチョーイケメンだよね。」
女2「ねー、あたしも座りたかったなー。」
女3「席変わってー、って言ったら譲ってくれるかな?」
女4「でも小鳥遊さんとあの一番窓辺に座っている人と結構お似合いだよね……。」


小声で言っているから聞こえないかもしれないが、そのくらいのことは考えなくても分かるって………。
………女子からの視線が痛い。
そして何故男子までもが私のほうを見ているのか不明なのだが。
………顔にゴミでも付いてるか?
仮にそうだったなら、私はかなり恥ずかしいのだが。
そもそも何故こうなったかと言うと、この修学旅行の一週間程前に担任に言われたことが元だ。


――――一週間程前


先「えー、皆に大事な連絡がある。
一週間後の修学旅行の件だが、男子校と一緒に行くことになった。」


………………はい?
今何て言いました?

クラスの様子を目の隅で探ると、私と同様信じられないでいるのか、ひそひそと話している人がいる。
そうかと思えば、瞳を大きくして驚いている様子も見える。
………どうやら、無表情なのは私くらいらしい。
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