短編集

□雪が降って
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注意
リンレン
王道だけど気にしないで下さい…






「ほわー!?」
「雪だー!!」
ある朝のこと。起きたら外は白銀の世界だった。リンと俺…レンはパジャマではしゃいでいた。
「ね、ね、レン。私ね、雪ダルマ作りたいの!」
正確に言えばはしゃいでいるリンを見て、俺も微笑んでいるという状況。だってこの歳にもなって雪くらいで興奮するんだぞ?可愛すぎるじゃないか。
「ああ、その前に着替えないとな」
「ん、じゃあ早く着替えてよね」
「はいはい」
せかせかと自分の部屋に戻っていくリンの後ろ姿を眺めながら、頬を緩ませた。

「気持ち悪い顔してないでちゃんとご飯食べてきなさいよー」

というめーちゃんの声が聞こえたのは気のせいということにしておこう。
俺も着替えるために自分の部屋に戻った。

バンッ!!
突然扉が開いたかと思えばリンが立っていた。
「準備出来たっ!」
「ぅおっ!?」
絶賛お着替え中だった俺は野太い声を出して、脱ぎかけのズボンを一気に上げた。
「んー、遅い」
「いきなり開けるなよ。プライバシーってもんがあるだろ?」
「知らないもん。ねぇ、早く着替えてよ」
俺の言葉は一切無視して着替えを促すが…リンに帰る様子は一切見受けられない。
え、俺まだパジャマなんですけど。脱いだりとかするんですけど。良いんですかね?
「俺、着替えるんだけど…見るの?」
自分の下半身を指差しながら言うとリンの顔が急に赤くなった。
「バ、バ、バカじゃないのっ!?」
俺を泣きそうな目で睨んでから慌てて出ていった。

着替えて外に出ると、既にリンは外に出ていた。もこもこのジャンパーを着ているから余計手足が短く見える。
それでも可愛いのがレンだが。
「雪ーー!!」
雪ダルマこと、リンは雪山に突っ込んでゴロゴロ回転し始めた。魚拓ならぬリン拓が出来ている。
「レンもゴロゴロしないの?」
「しないよ。寒いじゃん」
「寒いのが冬でしょ!」
するとリンは立ち上がって俺の腕を引っ張り、突き飛ばした。

「ぐぁっ!?」

「えへへー。どう?」
「どうもこうも寒いわ!」
「ふぅん。レンは私と違うんだねぇ」
「…当たり前だろ」
ぼやきながら立ち上がり、俺も何かリンに仕返し出来ないかと考え見つけた。
手元の雪をかき集め丸めてから、リンを呼ぶ。
「リンリンー」
「んー?」

ばしゅっ

投げた雪玉は見事リンの顔に命中した。
「えっ!?冷たい!」
「さっきの仕返しだ、ばーk…ぐはっ!?」
何か冷たいものが顔にぶつかり、それが雪玉でリンが投げたものだと判断するのには時間がかかった。
「なぁにが仕返しー?」
「…やったな。くらえ!大量の雪玉攻撃!」
「ネーミングセンスがないのにも程があるよ!っく、そっちがそうくるなら私だって遠慮しないよ!」
「ふはははは、俺もだ!」


結果、雪合戦となりどちらかが寒いと言ったことでこれはお開きとなった。


「はっくしゅ!」
「うー、寒気がする…」
「私も…何か寒い…特に手が冷たい…」
「そうだな」
体幹はもこもこで暖かいが無様なことに手袋をはくのを忘れていた。
「俺も寒いよ。じゃあ、こうしようか」
「えっ」

リンの手を取り繋いだ。

「こうしたらちょっとは暖かくなるだろ?」
「ん、んん…ちょっとはね」
「じゃあ、こうしてよう」
「変なレン。にやにやしてる」
「俺がリンを見てにやにやしてるのはいつものことだろ?当たり前のことを今更なんだよ」
「え、さらっと気持ち悪い発言が出てたんだけど」
「ははは!」
「笑って誤魔化せないからー」
「片方だけじゃ寒いだろ。両手を繋ごう」
「何か宗教みたいで気持ち悪いよ」
「うん」
「頷きながらも手を繋ぐなよ」
「ぬふふ」
「やだー、レンキモいー」
そう言いつつも話さないところがリンの可愛いところだ。







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