短編集

□べ、別にあんたのこと!
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注意
カイミク
好きだけど嫌い











視界に嫌なモノが入った。

「ちっ」

思わず舌打ちしてしまう。

「おかえりー。って、今舌打ちしなかった?」
「…してない」
「本当?聞こえた様な気が…」
「黙って」

少し食いぎみに言うと黙った。
それで良い。
アイツの声なんて聞きたくない。
ましてや、話したくもない。
目も合わせたくない。
だって

アイツと話していると、不可解な動悸が止まらないから。

見ると頬が紅潮するのも、不整脈になるもの全部アイツのせい。
きっと、ドキドキさせる魔法でもかけているのかもしれない。
バカなくせに。

「お、部屋に行くの?」
「…」

ぎろりと睨むとまた黙った。
さっき黙れと言ったのに…アイツには日本語が通じないようだ。

テレビを見ているのか遠くから声が聞こえてきた。
楽しそうな笑い声。

止めてよ。
声を出さないで。
何故か胸が締め付けられる。

だから嫌いなんだよ。
アイツなんて、アイツなんて。
簡単に私の心に入り込んで乱してくる。
何でこんな感情が沸くのか分からないけど、嫌だ。
全てが嫌だ。

私が無視しても平気に話しかけてくるし。
睨むと悲しそうに眉毛を下げながらも薄く笑うし。
私が悲しんでいる時は側にいるし。
私が笑っている時は遠くから眺めている。
そんなアイツに無性に腹が立つ。

この事をレンに言うとにやにやしながら「へぇー。ミク姉が?意外」とか言っていた。
何が意外なのか分からないけど取り合えず腹立つ。

私の心を捉えて離さない、アイツが大っ嫌いだ。











あとがき
ミクちゃんはカイトに好意を持っているがそのことに気づいてなくて悶々してます。

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