短編集

□君は僕だけのモノ
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近親相姦モノ
ちょい裏注意↓











リン視点


─私は実の弟に監禁される。



いつからかそう感じていた。
優しくて可愛くて私になついてくれる、大好きな弟…それは年をとると共に変化していたのだ。

私への執着心が強くなって、他の人と話すことだけにも怒ってきて、束縛するようになって、彼の権力全てで私に近づくモノを排除した。
男でも女でも動物でも、私が興味を向けるモノ全てを遠ざけていった。

もはや、恐怖だった。


初めて顕著にそれが現れたのは小学生の時。

「何で、僕以外の、人と話すの」

クラスメートの男子と話した、放課後のこと。
帰ろうとした私の腕を掴み、声変わりのしてない高い声で聞いた。
その顔は嫉妬でぐちゃぐちゃに歪んでいて思わず綺麗だと思ってしまった。
「何でもないよ…ただ、分からないことを教えて貰っただけで…」
「なら、僕が頭良くなれば他の人に聞かないよね?」
それは私への問い掛けだったが命令にも聞こえた。
─もう二度と他の男に聞くな…という。
それ以降、夜な夜な弟が勉強してるのは知っている。


弟は、私と違い社交的で皆に好かれる人間だった。
いつも周りには人がいて楽しそうだった。
まあ、私が社交的じゃなくなったのも全て弟が手を回した結果だったんだけどね。
その頃の私は知らなかった。

一人きりでの学校生活でただ一人話しかけてくれる双子の弟に依存してしまうのは無理もない話だった。
他の人間を外敵とみなし壁を作り避けた。

クラスメートの皆は私を避けるが、レンだけは私を見てくれて…私のことを知ってくれて…私の側にいてくれて、私を否定しなかった。
だからだろう。
密かに弟に向ける愛情以外のものを感じていた。
だけど、後で全てが弟の計画だったと知ったときは心の中の何かが音をたてて崩れ落ちた。
そのころから、私は考えるのを止めた。
必然的に弟にも壁を作った。

「姉さん、愛してる」

私を抱くときは決まってこう言う。
綺麗な顔を快感と悲しみに歪めながら、私の頭を撫でて。
学校にいるときの、注目されているときの無機質な表情とは違って私はその顔が好きだった。
他の誰もが知らない表情。
私にだけ見せてくれる…そんな優越感に浸されているから、私は足を開くことが出来た。
そして、その顔を見ることだけが、私の唯一の喜びとさえなっていた。

時折、彼は癇癪を起こした。
発作のように突然発狂して私を殴る。
何に対して激怒してるのかは分からない。
けど、酷く怒っていて私は何も発することが出来ない。
無感情なのに瞳から涙に似た体液が流れ落ちてくる。
それを見てレンは手を止めて憑き物が落ちたように泣き出す。
子供のように感情を露にして大きく泣く。
その度に私は頭を撫でて「大丈夫…大丈夫」と囁くのだった。
泣き終えたらレンはひたすら謝りながら私を抱く。

「姉さん、愛してる」

呪文のように繰り返しながら。
レン自身に唱えているのかと思う程に。
抱かれている時だけは、暴力もふるわなくて優しかった。


甘い蜜とスパイシーな香辛料を重ねて構成されているのかと思う程の性格の彼。
誰よりも私を愛しているのは伝わる。
けど、こんな関係を続けながらもレンに惹かれている自分がいることに気がついて私は高校入学を機会に反抗することにした。


「レン以外の人とも話したい」

レンが一番優しくなる事後に伝えた。
当然、彼は怒りを表情に表した。

「だめだ」
「お願い…どうしてもだめなの?」
「何で僕以外の人と話をしたいの?」
「今後の人生の為に…レンのお嫁さんになったら必要になるかもしれないじゃん」

思ってもいない、レンのお嫁さんになるという言葉にレンは過剰に反応してから冷たい笑顔で言った。

「そうだね。人生経験も必要だね」
「本当?じゃあ…」
「ただし、僕の条件をのんで。○女子高校に入学して」
「良いけど…そこって厳しいってことで有名な女子高だよね」
「だから良いんだよ。のんでくれるよね?」
「うん。ありがとう…大好きっ」

思いきり抱きついて嘘の言葉を吐き出した。
好意なんて一度も持ったことがないが薄っぺらい言葉でもレンに通用するみたいだ。

「僕も愛してるよ」




これからは私の反抗が始まるのだ。
レンが作った檻を壊して新しい学校で新しい私を作ってやる。
そしていつかはレンから離れるんだ。
レン以外の私を本当に愛してくれる人を見つけるんだ。

…それまではレンに体を許してあげる。











レン視点







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