短編集

□仕方がないこと
1ページ/1ページ


甘い甘いアイス。

今日はカイト兄さんに内緒でアイスを買ってきた。
今日限定発売のアイス。

家に帰ってくるまでにやにやしながら、食べるのを楽しみにしていたのに…


「いただきまーす(にやにや)」

「お、リン!ちょっと待って」

「ん?何でよ」

「良いから!」
と言ったかと思うとアイスに顔を近付けて。

もぐもぐ、ごっくん。

「ご馳走さまでしたー」
満面の笑み。
私は口角がひくひく痙攣。

失せろ

大声で言ってやった。
したら、レンは走って逃げる。

ちくしょー。
私が一番に食べたかったのに…
まあ、良いか。
今度奴隷として働かせよう。


口を大きく開けて。

あー……ん?


これって間接ちゅーじゃないの?
あれ、気のせい?
…じゃないよね!!
や、や、や、ヤバイ!
レンと間接ちゅーですか。
ま、まあこのアイスは私の物だし。
食べても問題ないよねっ!
うん、ないない。大丈夫!
いただきまーす…

視線を感じる。

この殺気は…

まさか。





カイト兄さんだ。





扉の間から覗いている。

ヨダレ垂らしながら欲しがっている。


見えてないフリ…も意味がないし。
食べようとしたら…瞳が潤んできて。

…ちょっと待って!

泣かないでよぉ。


「兄さん、これあげるわ」

「ありがとう」

速かった。
扉から私がいるところまで距離はあるはずなのに0.01秒もかからなかったと思う。


うう。
レンと間接ちゅーしたかった。



.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ