短編集

□イヤリング
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今日はレンとの初デート。

だから子供っぽい所は見せたくないの。
大人びた服装。
つけ慣れないイヤリングにエクステ。
高めのヒールで大人の女アピール。


「ねえ、無理してない?」

「え?」

「さっきから上の空だよ」

「ぜ、全然っ!とても楽しいよ!」

「そう?なら、良かった」

レンは優しい笑顔を見せた。
私ったらダメじゃないの。
レンに心配かけさせちゃって…
もっと頑張らないと!


って…思ってたんだけど。
我慢出来ないほどの痛みが全身を覆う。
耳も頭も足も。
でも、そんなこと言えない。
言ったら嫌われちゃうかもしれないから…

それはダメ。


痛みに耐えながら歩いているとレンが呼んだ。


「リーン」

「えっ」

レンがあすなろ抱きをしてきた。
身長足りてなくてちょっと痛いのはご愛嬌。

「目、瞑ってて」

「うん」

「ちょっと移動するよー」

「う、ちょっと。変な所触ってないっ!?」

「そ、それは悪気ないよ」

「うー」

「開けて良いよ」

「うん。え…?」

目の前にいたのは鏡に映る私。
その私はいつもと同じラフなジーパン&パーカー。
さっきまで着けていたエクステもイヤリングもない。

「取っちゃったの?」

「うん、ごめんね。ずっと無理してるの気付かなくて。俺の前では可愛い格好しなくて良いよ。そのままのリンが好きなんだから」

「…ホント?」

「っえ?ごめん!泣かないで!」

「嬉しくて泣いてんのよー…ひっく…」

「な、何で?」

「この、天然タラシがー!」




涙を溢すリンは素敵に笑っていた。


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