短編集

□恒例行事
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毎年この日は皆の心踊る。

そう、今日は2月14日。
バレンタインデーだ。
女の子が好きな男に対してチョコ送る行事。
それほどチョコが好きって訳ではないが、今日だけ大好物になる。

今日こそは、貰える。
確証はないが自信は無駄にあった。

当然俺にチョコをくれるのは彼女。
学園のアイドル…鏡音リンだ。

一応、小学からの幼馴染みで家も近い。
貰える自信はそれだけじゃない。
なんと。
今までずっと同じクラスなのだ。
きっとこれは運命なのだろう。

だから貰える。
彼女はきっと入れてくれてる。

毎年そう思って靴箱を開けるが入っていない。

…きっと、恥ずかしいんだろうな。

それとも彼女は優しいから、俺が他の子から貰うかもしれないと心配しているのか?
それは大丈夫。
俺にチョコをくれる子なんて一人といないから。

…悲しいけどな。

でも俺は君のチョコだけを待っているんだ!
と、信じたい。

さあて。
いよいよ戦いの時間だ。
(靴箱を開ける時間だ)


手をかけた靴箱は冷たくて。
俺に開けるなと言っている。

ああ。
俺は結果なんて分かってるよ。
だから俺のことを安じなくても大丈夫だ。

ギイイ

唸り声をあげる。

俺の靴箱の中には…

「え、ある?」

有り得ない。有り得ない。
俺の靴箱に、え?
チョコが、え?

七年間ずっとチョコを貰えなかった俺が?

「いただきまーす!!」

開封してチョコを口に入れずに静止する。

チョコに文字が書いてあったから。

手作りのそのチョコにはこう書いてあった。





義理チョコ



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