頂き物

□相互記念
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注意
星影の紡様より頂きました。
相互記念リクです。
ヤンデリン設定です。



ナイフ。
それには赤黒くどろっとした液体がついている。
それは気持ち悪いほどに赤く美しく輝いている。
「……が………が悪いんだよ?」
握り締めたナイフを見ながら小さく…でも聞こえるように呟く。
瞳に苦痛に苦しむ姿を映したまま…。
***************************************
「レンっ!」
そう彼を呼んであたしは飛びついた。
レンの香りが伝わってくる。
いい香りだな…。
その香りで落ち着いていると大好きな彼、レンがふわりと微笑みながら振り返った。
「リン、どうしたの?」
その笑顔が眩しくて一瞬…ほんの一瞬だけ惑わされかけてしまった。
でもあたしは知ってるもん。
「ねえ、レン。今日も女の子と“楽しそうに”喋ってたね。どんな話をしてたの?」
見ちゃったんだよ?
凄く可愛い娘だったね?
そう…あたしなんてかなわないくらい。
「ねえ、どんな話してたの?」
気になるんだよ?
レンの行動全てが。
あたしをただのクラスメートだって思わないでよ。
顔は笑わせながらも瞳の奥が笑ってないって自分でも分かってる。
「ねえ?レン」
「リンには分からない話だよ」
「何それ」
あたしには分からない話ってどういうこと?
「リンはオシャレとか興味無いでしょ?」
確かにあたしはオシャレには疎いけど…。
「わざとだよね?あたしが邪魔だから分からない話をしたんでしょ?」
レンはあたしが嫌いだから。
あたしがレンを好きってだけで疎んでるだもん。
それでもあたしは好きだから。
レンに同じ気持ちになってもらえるまで…ずっと付きまとい続けるって決めているから。
どんなに、どんなに嫌がられても我慢出来るんだよ?
こんなにレンを思い続けている強い女の子なんてあたしだけだよ?
「早く、あたしを好きになってよ…レン」
ぎゅっと抱きついている腕に力を込める。
こんな風にレンをあたしの腕の中に閉じ込めていたい。
心を体を…何もかもをあたしのモノにしたい。
「どうしたらいいのかな?」
どうしたらこっち向いてくれるのかな?
レンのビー玉みたいに透明な瞳を見つめる。
瞳の奥を、心を覗くように。
「リン、そろそろ離れて欲しいな」
レンは今までずっと黙っていたのに急にそう言うとあたしを引き離す。
あーあ、離れちゃった。
どうしたらいいの?
レンをあたし“だけ”のモノにするには。
何も無くなってしまった空っぽの腕を見つめた。
 
時間というのはあっという間に過ぎてしまうもの。
何時間もあれば、レンをあたしだけのモノにする方法なんて思いついてしまう。
そして、あたしが行き着いた結論。
“レンとあたし以外の何もかもを消してしまえばいい”
なんでそんな簡単なことが思い付かなかつたんだろう。
消してしまうのなんて、簡単なんだよ?
「レンがあたしを好きになってくれないから…あたしがもっと積極的に行動するだけ」
手にナイフを持って動きだす。
最初は今日、レンと話してたあの娘。
次はインターホンを押してホイホイと出てきたあの娘。
いつもあたしとレンの会話の邪魔をしてくるあの男。
次はレンに抱きついてくる厚かましいあの娘。
あの娘あの娘あの娘あの娘あの娘あの娘あの娘あの男あの男あの男あの男あの男あの男あの…………。
「どうしよう…片手で数えられないや?」
片手でも、両手でも足りないな…。
血に染まるナイフを見つめる。
レンの為に頑張ったんだよ?
あの娘は抵抗してきたから××から切っちゃった。
毒を持ってやればよかったかな?
じわじわと苦しんでいく姿を見るのも楽しかったかもね?
最期は…レン。
あなたの所に行くから。
あたしを褒めて?
インターホンは押さずに、コンコンっと扉を叩く。
「はーい。ってリン?どうしたの、こんな時間に」
出てきた愛しの王子様はあたしの手を見て瞳を見開けた。
「リン…それ」
「全部、全部レンの為だもん。あたしだけを見てくれるおまじないだよ?」
あたしだけを見て。
誰とも喋らないで。
あたし以外を無視して…。
「最期にあたしだけを見てくれていたらいいんだよ?」
レンの記憶に最も鮮明に、忘れられないように残ってあげる。
「リン…リンは俺が好きなんだよね?」
「そうだよ。今更何言ってんの?」
レンの瞳が笑う。
何で、笑っているの?
「残念だけど俺はリンが嫌いだ」
…ーっ!?
何それ…。
レンがニヤリと笑っている姿が目に焼き付く。
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