お題小説

□そういう服、止めて欲しいんだけど
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注意
カイメイ
兄さん頑張ります!
それでもOK?















「だー。服決まらない!」

めーちゃんが溢れかえった服の真ん中で叫んでいる。
愛ではなくて、悲痛な思いを。

「もう6時じゃない。待ち合わせは7時だってのに…どうしてくれるのよ、カイト!」
「ええ、僕!?」
「そうよ。あんたが存在しているせいで私は飲み会への服が決まらないのよ!」
「理不尽なー」
「だから、あんたも今日着ていく服探して」
「ええー」

嫌な顔をするとめーちゃんは睨んできた。
おお怖い。

「これはどうかな?」
「子供っぽい」
「じゃあ、これは」
「季節が違う」
「これは?」
「派手」
「これは?」
「あの人が好きじゃないもの、その色」

ぴたりと、手を止めた。
あの人の喜ぶ服を何で僕が選ばなくちゃいけないんだ。
大体、めーちゃんは何でそいつとの飲み会に行くだけなのに張り切る必要があるんだよ。

「僕は、良いと思うけど」
「あんたの言葉なんて参考にしないわよ」
「…むっ」
「あら、これなんてどう?可愛いわね」
「ん、着てみてくれる?」
「あんたに言われて着るのは嫌だけど仕方ないわね。見たらぶち殺すわよ」
「はいはい」

めーちゃんがここで着替えるということを悟って後ろを見る。
しゅるしゅると布の擦れる音が心臓に悪い。
全く、分かってやっているの?
僕も男なのに。


「どう?」
「着替えたの?」

後ろに向き直すと、天女がいた。
失礼、胸の谷間と太股すれすれまで露出されたスカートを着ためーちゃんだった。
ピピーッ。レッドカード!

「似合ってるかな?サイズが小さいのは…まあ、良いわよね」
「…けど」
「ん?」
「…そういう服、止めて欲しいんだけど…」
「は?」

めーちゃんが鋭く睨んでくるのが分かる。
だって、嫌だ。
僕以外の奴にこんなに可愛いめーちゃん見せたくない。
皆、惚れてしまう。
嫉妬と愛情の混ざった感情が頭の中で入り乱れて頬が熱くなって、視界が緩んだ。

「ふぅん。あんたがそう言うなら止めても良いけど…」

何を感じたのか、にやりと微笑んだ。

「ほ、本当!?」
「ただし、言うこと聞いてよね」
「うん、聞く!」
「じゃあ─」







「まっさか、デートの相手がお前だったとはなー」

デートの相手に話しかけると、そいつは嬉しそうに鳴いた。
尻尾を振り回して僕に抱きつく。
そう…デートの相手とはマスターの愛犬だ。
どうやら僕の勘違いだったみたいで。
めーちゃんにデートするような相手はいないということであった。
しかし、心残りなのは…

「何で、めーちゃん。僕が止めてと言ったら止めてくれたんだろう」

あのめーちゃんがね。
まあ、気まぐれなのかな?











あとがき
カイメイ…なのかな?

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