お題小説

□いいけど、俺も一緒に行くから
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注意
恋人なんだから俺を優先するよね?の続きもの
報われないレンにご褒美(?)的な
…それでもOK?












突然レンが呟いた。

「可愛いさに…何か誤魔化された気がする」
「黙れって言ってるのが聞こえないの?」
「俺の目的のリンといちゃいちゃが出来てないもん」
「もんじゃないよ。可愛くない」
「あれー?ミクとかは棒読みでカワイイヨって言ってくれるのに」
「あんたそれに感情が込もってないって分からないの?」
「え、可愛いじゃなくて格好いいだって?照れるなー」

アホか。
この人は。

「今度良い耳鼻科紹介するよ」

あ、精神科の方が良かったかな?
それとも犯罪予備軍として警察につきだすとか?

「つ、つまりデート?」
「デートで耳鼻科ってどんなカップルよ。いたら見てみたいわ」
「いるんじゃないかな。きっと何処かに」
「じゃ、探して来なさい」
「うん!」

そう言ってレンは走って行った。
まさか、本当に探しに言ったのかな?
まあ、五月蝿いのがいなくなって万歳ものだけど。



─3時間後


息を切らしてレンが帰ってきた。
満面の笑みである。

「見つかったよ!隣町まで行ったらいたよ!」
「そう、それは良かったわね」
「うん!」
「…」
「って、ちがーう!!」

トチ狂ったかの様に大声を上げるレン。

「五月蝿い。発狂しないで」
「リンといちゃいちゃしたかった筈なのに、俺いつの間にか走って隣町まで行ってカップルの観察してるし」
「そは自業自得よね」
「意味分からない行動しかしてないし」
「いつもの事よね」
「リンといちゃいちゃ出来てない!」
「それもいつもの事よね」
「リンといちゃいちゃしたい!」
「黙れ」

はぁ、と再度ため息。
こいつは何を言っても聞かない。
どうすれば良いのよ…あ!




「私、カイト兄さんと結婚を前提に交際しているの」



さっきよりも驚いた表情で私を見てきた。
声は出ないようで、口だけナンデと動いている。
根も葉もない嘘なのに、結構本気で騙されていて嬉しい。

「だから、いちゃいちゃは兄さんとしかしないの」
「え、兄さんと、何で…」

声は震えていて、今にも泣きそう。
だからなのかゆっくりと単語で区切って話している。

「二人だけの秘密」
「嘘、だ。あいつと。有り得ない…」
「本当のこと。だから、今週末は兄さんとデートの予定入っているし」
「だ、だめ…」
「は?何でレンに言われなくちゃいけないの?」
「リンと一緒にいるのは、俺、だから」

レンが私を熱い眼差しで見つめてきて、何故か私の胸は熱くなった。

「ばっか、何言ってるのよ」
「いや…やっぱり良いよ。行ってもいいけど、俺も一緒に行くから」
「それじゃ、デートの意味ないじゃない」
「デートなんて許さない!」
「…っ!」

激しく憤るレン。
こんな姿なんて見たことないから動揺してしまう。

「お願い。デートなんてしないで」
「や、止めて…手を掴まないで…そんな目で見ないで…」
「俺と一緒にいて」
「止めてよ…変な気分になる…!」
「カイトと付き合っているなんて嘘だって言って」
「い、いたっ…」

腕を激しく掴まれた。
真剣な瞳に捕らえられ動けない。
…もう、観念して本当のことを話そう…

「う、嘘よ。全部嘘よ…だから、そんな目しないで…」
「嘘?」
「全部嘘。カイト兄さんと付き合っているとか、デート…とか」
「嘘…だったんだぁ…良かった」

はははっと疲れきった表情でレンは笑った。

「レンのバカ」
「うん。ごめんね」
「痛かった。許さない」
「え、そんな力で握ってた!?」
「うん、ほら」
「うっわ…ごめん。こんな痛い思いさせて。もうしない」
「私も悪かったわよ、おあいこってことで」
「ありがとう。じゃあ、仲直りのいちゃいちゃしよう!」
「…あんたのいちゃいちゃしよう攻撃から回避するための嘘だったんだけど、これだったらふりだしに戻るじゃない」
「えへー」
「誉めてない!」
















あとがき

前作で報われなかったレンに少しご褒美をあげようとした結果、
リンに手を出すことになってしまいました。
くそう、レンの野郎…!
「リンの残り香はぁはぁ」とか言って座ってた座布団に顔を埋めているのがレンでしょうが!
…って、書いたのは私ですけどね。

閲覧ありがとうございました!

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