お題小説

□いっそ触れられない場所へ
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注意
束縛でも何でもない日常カイメイ(1ページ)
病んでる感じのクオミク(2ページ)








「めーちゃん、夏だね」
「そうね」
「夏だよ?」
「そうよ」
「夏だからー」
「あー、分かってるって!」
私の周りを彷徨くデカイのを叩いた。
するとそいつは嬉しそうに顔を緩ませた。

「反応してくれたー」
反応するんじゃなかった。
余計喜んで私の周りをうろうろし始めた。
そのデカイ身体だと暑いんだってば。
「めーちゃん、夏だよ。暑いね」
「分かってるって。静かに寝かせて」
枕に顔を埋めてカイトの声を聞こえないようにした、はずなのに遠くから。
『夏だよ、夏だよ、暑いよ、暑いよ』
と囁くカイトの声がする。
…寝たいのに、そんなに五月蝿いと寝れないじゃない。たっく、もう。
「そんなに暑いならマフラー外せば良いでしょ!?」
「やだ」
「私に刃向かうの?」
こっちは眠いんだコノヤロー。
優しく構ってあげることなんて出来ないんだコノヤロー。
あ、前からかコノヤロー。

「だってこれはめーちゃんがくれたんじゃないか」

小さくカイトが呟いた。
「は?」
一瞬、何のことか理解できなかったがゆっくりとマフラーの事だと分かった。
それほど、マフラーをあげたことを忘れていた。
「…そんなの覚えていたんだ」
「うん、覚えているよ。このマフラーをくれた時のめーちゃんの体温から呼吸数まで全てお見通しさっ」
キラーンと星が飛び出しそうなスマイルはここで使うべきではないと思う。
余計、残念感が増すだけだ。
「…キモい」
「ありがとう」
なぜ感謝する。

「だけど、暑い。暑い。暑いー」
また駄々っ子再発。
これが小さい子がやるんなら可愛い気はあるがカイトがやるとなると…うん。
「マフラー外しなさい」
「やだ、やだ、やだー」
「ああ。五月蝿い。このマフラー、いっそ触れられない場所へ隠してしまおうか」
「めーちゃん、目がマジだからっ!その目だと僕まで殺しそうだよ!?」
カイトが焦った目で訴えてくる。

「バレた?」
柄にもなく舌ペロ+ウィンクで返してみた。




クオミク
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