お題小説

□近づいたはずが遠くなって
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注意
微エロ
カイリン←レン




「何でそんな目で僕を見るの?」

僕の愛しのリンは頬を押さえたまま僕を信じられない目で見ていた。
決して恋人に向けるような眼差しではなくて、鋭くて暖かみがない。
そんな眼差しが僕に向けられる意味が分からない。
僕は、リンを愛している。だから、リンも僕を好きでしょう?なのに、何でそんな目をするの。
僕を好きならもっと僕を好きって言ってよ。
言ってくれないと、僕は僕じゃなくなる。おかしくなるんだ。死んでしまいそうになる位に狂ってしまう。
だから、僕を愛して。


─僕らの人生の歯車が欠けたのは丁度二年前。
僕らのお母さんのような存在であっためーちゃんが事故で他界したのだ。
勿論、僕もリンもショックで落ち込んだがそれ以上にカイト兄さんが落ち込んでいた。
めーちゃんが亡くなったことを知らされた夜に兄さんは倒れて、お通夜に来れなかった。
つまり、めーちゃんの最期を見送れなかった。
そして兄さんはショックで徐々に元気を失い、ついには外に出ることすらしなくなったのだがそれをリンは支えた。
僕とずっと一緒に居てくれると誓ったリンは簡単に僕を捨てて兄さんを選んだんだ。
リンは懸命に兄さんの介護をして、励ましてめーちゃんの代わりになろうとした。
そのお陰で兄さんは何とか立ち直ったんだけども、リンに依存するようになってしまった。
しかし、リンは兄さんが依存をすることを許した。リンもまた、兄さんが依存することを喜んでいるかの様に見えたのは僕の見間違いだと思いたい。
大好きな自分だけのリンがいなくなったことによって僕は更にリンが欲しくなった。

リンの愛情が足りなくて、狂った僕は行動を起こして─現在に至る。
リンは僕が抱き締めると抵抗したから、思わず僕はリンを殴ってしまった。
女性に手をあげるなんて最低だとは思うけど、リンは僕の言うことを聞いてくれないから力で従わせるしかなかったんだ。
「ご、ごめんね…だからそんな目をしないで」
僕は謝ってリンを抱き締めた。
すると、今度は僕に抵抗しなかった。
リンは僕を愛してくれるの?また、愛情を注いでくれるの?嬉しい、嬉しいよ。
「お願い。僕だけを愛して」
虚しい僕の思いは空回りしてリンの胸には届かなかったと思う。
身体は近づいたはずが心は遠くなっていたからね。より一層兄さんへの思いを強くさせてしまった気がする。
ああ、そうだ。
良いことを思いついた。
「兄さんを殺せば僕だけを愛してくれるよね?」
言った後に彼女は泣きそうな顔をぐしゃぐしゃに歪ませてから、笑顔に似た表情を見せた。




あとがき
ヤンデレンなのでしょうか?

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