幻想水滸伝

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面白くないよ...

君が戦う姿なんか、私は見たくもない...

どれほどに君を大切にしてきたか...


でも...

こんな事を言うとまた怒らせてしまうね...


そうだ、今日はあの子が私の名を呼んだよ

早くミアに見せたいよ...











港町からサウスウィンドゥへ到着しようやく安堵のため息を吐き、フカフカのベッドへ横になる
窓の外は既に日は落ちていて、涼しい風が舞い込む


「ん〜...疲れたぁ...」

言葉が勝手に出て行くほどにベッドのフカフカ下限は最高のものだ

「ミア、ちょっといいか...?」

「っ!あ、はい!」

ドアの向こうからビクトールの声がし、ミアは慌ててベッドから飛び起きてドアを開けに行く

「すまねぇな、疲れてるのに...」

「いえ、平気です、ビクトールさんの方がつかれているのでは?」

ミアがそう言うと、ハハッ_と元気のない空笑いをし、大丈夫さ_と答えるビクトール

立ち話もなんなので、部屋の椅子へと座ってもらいミアが紅茶を用意する


「どうかなされたんですか?」

カチャッ_とティーカップをビクトールの前へ差し出しミアも椅子へと座る

ここへ来るまでビクトールの表情は何処か上の空にも見えた...


「...ジョウイが...アナベルを刺したらしいんだ...」

「...」

あの日、ミューズが夜襲に合った日、市庁であるアナベルを何者かが暗殺、その混乱に会わせてミューズ市を攻め落とす...

指揮のない都市を滅ぼすのは簡単なことだっただろう...


ジョウイ...彼が何を思い行動を起こしたのかはわからないが
少なからず、彼の持つ黒き刃の紋章が影響を及ぼしたと思わざるを得ない


ミアはビクトールの悲し気な瞳を見つめ、そうでしたか_と短く返事を返した


「何か訳があるんだろうけどな...ミューズ市が攻め落とされた今、ハイランドとの戦いは本格的になる...苦労することになるぜ?」

...なんて強い人なんだろう...

アナベルとビクトールを見れば二人は友人だとわかるほどで

その友人が殺害されたというのに...

「...私の心配はなさらないで下さい、ご一緒させていただいて、私はとても助かっていますから...ビクトールさん...泣いてもいいのですよ?」


悲し気な笑みを浮かべるくらいなら、涙を流してもいいと思います_______


ミアがそう言うと、ビクトールの瞳から堪えていたのであろう涙が二粒頬を流れ落ちた

クッ_と顔を片手で隠す彼の傍へ行き、肩を震わせ座ったままの身体を抱きしめた...


「...守れなかった...」


悔し気に声を震わせそう言うビクトールを力いっぱいに抱きしめることしか出来なかった


____________________________



サウスウィンドゥへ到着し次の日___

ここサウスウィンドゥは、ジョウストン都市同盟の南部一帯を統括している街で、滅んだデュナン君主国の元首都であり、古い町並みが広がっている

市庁は...あの温厚そうな顔をした、確か名はグランマイヤー


ミアは朝食をとりながら一階でそんな事を思っていると、ビクトールとフリックが帰ってきた、その後ろにリオウとナナミ、ピリカの姿もある


「...無事で何よりです...で、そちらの方々は...?」

女性二人に男性が一人、服装からして旅芸人のようだが...


「アイリさんに、リィナさんと、ボルガんさん、港で一緒になったんだ。ミアさんも無事でよかった」


ミアはピリカに朝食に出されていた果物を譲りながらリオウの紹介を聞く

三人はゼクセンの出身で旅をしているそうだ...

簡単な自己紹介をこちらも行うと、ビクトールが市庁グランマイヤーと会いに行くというので同行することとなった

バラバラになったビクトールの兵達はここへ終結する事となっている、その時、グランマイヤーにあれこれと助けてもらう必要がある...

ミア、リオウ、ビクトール、ナナミ、フリックの5名で市庁舎へと向かった


グランマイヤーとの話は順調に進み、ビクトールの兵を喜んで迎えたいと言ってくれた

ミアは珍しく敬語を使うビクトールを見て驚き、フリックが笑いを堪えていた

が、グランマイヤーの口からノースウィンドゥ≠ニいう国名が出ると、和やかな空気は僅かに暗くなった


「ビクトール、君の出身はノースウィンドゥであったな...」

「えぇ...まぁ...」

ビクトールがそう答えると、今までグランマイヤーの後ろに居た男が一礼し説明を始めた


最近になり、ノースウィンドゥ付近にて若い女性の行方不明事件が多発しており、調査に出向いた部隊の報告によると化け物が住み着いている≠ニの事

「行方不明事件の解明を頼む...
ノースウィンドゥ出身なら、あの城の事も詳しいだろう?」

とグランマイヤーは言うが、ビクトールは少々考えながらも口を開いた

「......はぁ...まぁ、いいですけど。」

その後も2・3会話し、グランマイヤーの後ろにいた男、名をフリードと言う、メガネをかけた堅物そうな彼も同行し、ノースウィンドゥへと向かう事となった










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