幻想水滸伝

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早く君に会わせたいけれど

驚かせたいからまだ先にするよ...


ミア...


喜んでくれるよね?








「ミア様...探しましたよ」

「ナッシュさん、ジョウイさんは?」

現れたナッシュはもうハイランドの鎧は着ておらず、厚めの緑の服に着替えていた


「先に逃がしました、今頃ミューズへ向かっていますよ」

「そう...よかった...ありがとうございました」

「ミア様もこれからミューズへ?」

「はい、そのつもりです」

ハルモニアには帰らないのですか?_
そう聞こうとも思ったが、きっと答えてはくれないだろう

「俺もミューズへ行くので、ご一緒します」

彼は頬に笑みを浮かべそう言った...

「ありがとうございます...」

ナッシュと共に関所を越えた頃には朝になっていた


「ヒクサク様はどのような方なのですか?」

400年以上ハルモニアの神官長であるその男の顔を誰も見たことはなかった

幼い頃にその姿は見たことはあったが、彼はいつも仮面を着けていて周りには彼をとり囲むようにいつも大勢の人が居た

そんな男が、恐らくハルモニアを建国する以前から寵愛し傍から離さなかった人物ミアなら、顔や性格は知り尽くしているだろう

「どのような...ご察しの通り、変態です」

フフッ_と笑みを浮かべるミア、これはうまくかわされたな...

「変態...ですか...;」

「はい、変態です」

ミアはヒクサクが聞いているであろう今の言葉をワザとらしく二度繰り返した

「もしかして、それが嫌で今ここに...?」

「まさか、ちょっと外界に出たくなっただけですよ、実は存在しない神やら巫女と言われるのも嫌ですし...」

さて_そろそろ行きますか...

もしかするとヒクサクが現れるかもと思ったが、そんな気配もないし、このままナッシュに質問攻めにあうのも困る

ミアは話を切り上げるようにして立ち上がるとミューズへと足を向けた_____


___________________


あと少しでミューズ市だ、彼は任務中の為ミアより後にミューズへ入るという事なので一人で戻ると...


「...?」


門の前でナナミ、リオウ、ピリカの姿があった

「ミアちゃん!ジョウイは!?ジョウイはどうしたの;!?」

ナナミがミアに気が付き責めよってきた、まさかまだ戻っていないとは...

私とナッシュより先に出発したはずなのに...

道中で何かあったのか...?

「っ...;」

私たちの横をナッシュが一度視線を送り通過していく

まさか...嘘をついたの?


________________________


門の前で攻めよられているミア様

どうやらあの少年はまだ戻ってきていないようだ、背中に嫌な視線が突き刺さる;

まいったぞ...

そう思った時だった


「ジョウイ!ジョウイーっ!」


少女の喜ぶ声が耳に届き思わずナッシュも振り返る
そこには駐屯地から逃がした少年がミア達に囲まれていた

「...フゥーッ;」

ミア様と目が合い、ご苦労様でした_というような視線が向けられた

危うくミア様に嘘つき≠フレッテルをはられる所だった...


________________________



ミアはリオウ達を見て、まだ話しこむ彼らをおいてミューズ市へと先に入った


宿屋へ行くとビクトールが酒場で机に伏せってうたた寝をしていて、フリックがビクトールに毛布を掛けているところだった

「ただいま戻りました...」

「ミア...じゃぁジョウイも一緒なんだな?」

「はい、今リオウさん達と一緒に門でお話しています」

フリックは安心したように息を吐き笑みを浮かべた

「んガッ!?...ん...ミアっ!」

「起こしてしまいましたね」

イビキを掻いて眠っていたビクトールはミアを視界に入れると飛び起きた、その瞳はいつの間に!?と驚いた表情をさせていた

ミアはフフッ_と小さく笑うと申し訳なさそうに眉を寄せた

「ケガは?ジョウイは無事か?」

フリックの掛けてくれた毛布を床に落としたまま駆け寄りミアをまじまじと見つめ、ミアがまた笑みを浮かべるとホッと安堵のため息を吐いた

「私も、ジョウイさんも無事ですよ」

「そうか...よかった...」

後ろではフリックが呆れ顔で毛布を回収している、その後、リオウ達も宿屋へ戻り、各自部屋へと戻った_______


________________



寝る前にフリックに聞いた、明日はこのミューズ市へジョウストン都市同盟の各代表者が集結し、丘上会議が行われるそうだ
あのルカ・ブライト率いるハイランドとの戦いの今後を話し合うそうだ...


朝になり、ミアはフリックと共にジョウストンの丘へと向かう、ビクトールは先にリオウたちと共に向かったようだ

厳重な警備の中、ミアとフリックはビクトール達と合流し会議の間へと向かう、他にも見物客が多数いるが、そこは重々しい空気が漂い、今後の戦いでの不安が感じられる


各同盟の代表者が席につき、傍観席の方へとミアもフリックの隣へと席につく


「これより、ジョウストンの盟約に従い、丘上会議を執り行います。」


アナベルの言葉で会議が始まる、ナナミやリオウはそわそわしながらも黙ってそれを見守った


会議は順調とはいえなかった、同盟の代表であるミューズ市を落とすためにハイランドが国境付近でテントを張り、今にも攻め込もうとしているというのに、今までのジョウストンへのハイランドからの奇襲は山賊の仕業だの、そうじゃないだのと...

ミアは纏まりのない会議を見ながらも呆れたとため息を吐いたが、ビクトールは小ばかにしたような笑みを浮かべ、楽しんでいるようだ

アナベルも終始その眉間にしわを寄せあきれ果てている様子だ

そんな時だった、ミューズ兵が慌ただしく会議室へと駆け込んできて報告をする


「ハイランド軍が進行をはじめました!」


ざわつくその場をアナベルの威勢のいい声が静め、すぐに全軍を待機させるようにと各代表へと注げる


「俺達ももう行くか_」

フリックが見切りをつけたように立ち上がり、ビクトールもその後に着いて行く

その表情には笑みも浮かんでいたが、僅かながら怒りも感じられた...


リオウ達もその後を付いて行く中、ミアはもう一度各都市の代表を目に映す

サウスウィンドゥ市・グランマイヤー

トゥーリバー市・マカイ

グリンヒル市・テレーズ・ワイズメル

ティント市・グスタフ・ペンドラゴン

マチルダ騎士団・ゴルドー

そして、ミューズ市のアナベルと最後に目が合う、彼女はジェスと深刻そうに会話をしている


纏まりのない同盟だが、それぞれの都市もハイランドからの侵略は望んではいない


ミアはフリック達の背中に目を向け、その後に続いた__________

















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