幻想水滸伝
□_X_
1ページ/3ページ
君を思うと胸が疼くよ...
君に触れたくて、君に似た人形を幾つも作ってみたけれど
どれも違う...
ミア...ただ一言でいい...
『愛してる』
と言ってくれないか?
次の日もフリックとビクトールは朝から忙しそうにしている
ミアは宿屋の部屋の二階からそれを眺めたりと暇を持て余していた
リオウ達は無事なのだろうか_
砦から別れて二日が経った、今日あたりにミューズ市へ到着しても良い頃だろう
「っ!?」
背後に気配を感じ振り返る
部屋の隅がボゥ_と光り出し、そこに見覚えのある女が次第に現れた
「お久しぶりでございます...ミア様」
「レックナート...」
現れたのは門の一族であるレックナートだった
昔ヒクサクが門の紋章を求めてその一族を滅ぼした...
その時、私はヒクサクにばれない様に彼女と、もう一人ウィンディという女性を助け出し、真なる門の紋章を表と裏の2つに分け、二人に宿さた...
その後ハルモニアから逃がすことに成功したが
ヒクサクは門の紋章を手に入れる事が出来ず酷く怒り、既に崩壊した門の一族の村を跡形もなく消し去った
「お久しぶりです...」
ミアが瞼に喜びを浮かべると、レックナートは孤独そうに頭を項垂れた_
「っ...今までも真なる紋章の幾つかは見届けてきました
それをその都度お伝えしたかったのですが...
神官長ヒクサクの魔力により、ミア様にお会いできず
お伝えすることができませんでした...」
「大丈夫よ、番人の紋章が教えてくれていたから...大変でしたね...」
ミアがそう言うとレックナートは顔を上げた
両瞼は閉じられたままだったが淋しさの何処かに喜びを思わせるようなそんな表情...
「そうでしたか...
また、真なる紋章の下に108星が集まろうとしています...
盾の紋章、剣の紋章を宿した少年が二人...
彼らの行く末を見守るのですが...
その108星の中にミア様も…」
「そう...だからなのね___」
番人の紋章は誰かが真なる紋章を宿せば自ずと知らせる_
だが今回は何も反応がなかった
それはミアも真なる始まりの紋章の...
運命の歯車の中へ落されたためだろう...
「お気をつけ下さい...」
「レックナート、私は大丈夫です...心配しないで______」
ミアがそう言うとレックナートは安心したように肩を下ろした_
門の一族が滅ぼされたあの日_
ミアが光に見えた____
自分達よりも随分と若く見える少女はヒクサクの紋章の力を上回る絶大な魔力を見せつけ私達を助けてくれた
その瞳は暗く、贖罪の憂いを帯びていて
それでも少女は笑顔で言ったのだ
『生きなさい』
と...
私は幾度となく彼女に会いに行った_
しかし円の宮殿にはヒクサクにより結界がはられていた
だが一度だけ、彼女と再会できたことがあった
赤月帝国へと星見の結果を伝える役目をしていた頃、彼女は現れ以前と変わりのない姿で笑みを浮かべたのだ
ヒクサクの結界をものともせずに出てきたのかと思うと、やはり彼女の魔力は想像以上のモノなのだと痛感する_
「なぜ...あの方の傍におられるのですか...?」
耐えられなかった...ミアほどの人物がヒクサクの傍に居る事が...
「これが...私と彼の運命なのよ...」
彼女の言う意味は分からなかった_
幾度となく運命を変えてきた人々を見てきたレックナートには...
「それに...私が敵に回るようなことをすれば彼は世界を滅ぼしかねない...それよりも、レックナート...お願いがあるの...」