幻想水滸伝
□_V_
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この感情が愛情か_
それとも執着なのか_
そんなの____
どちらも当て嵌まるよ___
君は私のすべてだミア____
多くの声が響く_
ハイランド軍と砦の兵たちが睨みあい、やがて戦いが始まった_
負傷者の血と全員の汗の匂いが混じり、奇妙な臭気をを醸し出しているが、誰一人としてそれを気を止めず、最前線ではビクトールやフリックが火炎槍を手に戦っている
火炎槍の威力は凄まじく、一度は勝利した_だが...
「王国軍です!ハイランドの軍が攻めてきました!!」
明日以降と思われた次の戦いであったが、一息つく暇もなく、王国軍は砦へと攻めてきた
そんな無茶な_
アップルは顔を青くさせたがビクトールやフリック達はすぐに砦を守るように指揮を出し自分達も血みどろのまま戦いに向かった
「...常識で計れない厄介な方なのですね」
ミアはそう言うと少し泥で汚れた自分の服を手で払い、ビクトール達の後を追った
先ほどと同様、ソロン・ジー率いる軍にキバと名乗る男が敵軍に居る_
「ここを守ることだけを考えるんだ!」
ビクトールの言葉にこちらの兵がオ――_と拳を空へと突き上げた
先ほどの戦いで火炎槍の残りは僅か...
ミアはリオウ達が傷1つでもつかないように王者の紋章を外し、代わりに流水の紋章を宿し、守りに徹していた
だが敵軍とこちらの兵の数では明らかに負け戦で_
砦への王国軍の侵入を許してしまった
「リオウ!ジョウイ、ナナミ!ピリカを連れて逃げなさい!」
「っでも君は!?」
「私は大丈夫です」
ミアはそう言うとビクトールの方へと目を向ける、フリックとビクトールは共に砦の中へと入って行った
その後にリオウ達もピリカを迎えに中へ入って行く
砦の外は王国軍の兵と砦の兵が剣を交え、ミアにも剣が降り上げられる_
「これ以上、この中への侵入は許しません_」
我身に宿る流水の紋章よ________
そう言って左手を掲げ、まやかしの霧で目くらましを作る_
瞬く間に辺りは白い霧に包まれた
「...似合わないよ_ミア_」
「っ;!?」
霧の中に鈍い光が見え、そちらへ目を凝らす
聞き覚えのあるその声に背筋に冷たい汗が伝った_
霧の中から真っすぐにこちらを見て現れたのは、ヒクサクだった_
「驚いた?でも...驚いたのは私の方だよ...あぁ...こんなに汚れて...ダメじゃないか...君は美しくなくては______」
ミアの額から流れ落ちる汗をヒクサクは愛おしそうに唇を押し付け舐めとる_
「やめて...」
抱きしめようとしてきた両腕を押し返し、眉の間を微かに曇らせた_
ヒクサクの表情は相変わらず笑みが張り付けられていて、ミアが目の前に居る事が嬉しくて仕方がない様子だ
「もう帰ろう?私たちの宮殿へ」
「...まだ帰らない_」
「...ぁあ...もしかして君の紋章が...番人の紋章が久しく何かを訴えているのかい?」
「そうかもしれない、ヒクサク_私は暫く外の世界を見ようと思うの、帰るわ、必ず_だから今は_________」
ミアの言葉に、ヒクサクの表情が僅かに曇った...
「また反抗するのかい...?いいよ、わかった戻ってくるのなら...でもねミア、君が危険な目に合いそうになったら...王子様のように助けに来るよ」
不気味な笑みを残して、ヒクサクはミアの額にキスを落とし光の中へと姿を消した
助けに来るよ_って...いつでも監視してるからなってことか;
ヒクサクの気配がなくなり、ザァッ_と風が吹く
白い霧は風に靡きその効力を弱める_
視界に入ったのは先ほどまで剣を振り回していた兵士たちの姿であったが
それらは全員地面にひれ伏す様に倒れ込み血を流していた
「...」