短編小説

□アルバイト。
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「ただいまぁ〜……」




とある平日の昼下がり。




今日も今日とてダラダラと過ごす兄弟たちの部屋に、がっくりと肩を落とした長男のおそ松が帰ってきた。




「おかえりー。その様子だとまたハズれたんだね」


「最終コーナーで抜かされてさぁ……今日こそって思ったんだけどなぁ〜……」


「ギャンブルなんかやめてちゃんと働けばいいのに」


「うるさい!お前だって働いてないじゃん!」


「俺はちゃんと就活してんだよ!!」


「出ました就活アピール!結局就職できてないんだから一緒だろ!」


「はいはい二人ともやめてよみっともない」


「「フン!」」




睨み合うおそ松とチョロ松を見かねて、トド松が仲裁に入る。




「……まぁでも確かに。働けばお金は手に入るもんね」


「だけどその働くって行為が面倒くさいんだよ」


「上司とかウザいもんね〜」


「働いたら負けって言うし」


「何なんだこのやる気のない社会不適合者たちは……」




呆れたチョロ松が、読んでいた求人誌に視線を戻す。




「楽して大金貰える仕事だったらいくらでもやるんだけどな〜〜………チョロ松、なんかいい仕事ないの?」


「ある訳無いだろそんな仕事!」


「あ、ホストは?女の子口説いてお酒飲むだけで結構な額貰えるし」


「フッ、ホストか……カラ松ガールたちと出会えるかもしれんな……」


「俺たちのルックスじゃ無理だよ。鏡見なよ」


「どれどれ。……フッ、今日も一段と輝いている俺………」


「おいクソ松、お前目障りだからどっか行け」


「えっ」


「とにかく、明日ハローワーク行ってみようよ。まずは行動しないと見つかるもんも見つからないよ」


「えー俺明日新台打ちに行かなきゃだから無理」


「だからギャンブルはやめろっての!」


「打ち終わってからでも行ってみなよ。案外見つかるかもよ、いい仕事」


「トッティも甘やかさないで!」


「あ〜はいはい、気が向いたら行きますよ」


「お前絶対行く気ないだろ……」


「そんなことない。兄ちゃんやればできる子だから」




そう言って、自信満々に鼻の下を擦る。




「はぁ……長男だったら少しは兄弟たちにいいとこ見せてよね、ほんと」


「えぇ〜見せてるじゃん、毎日!」


「どこが!?むしろ醜態しか見せられてないんだけど俺達!!」


「あーもう怒った!俺怒っちゃったよ!?いいよ行ってやるよ働いてやるよ!大金手に入れてもお前らには1円もやらねえからな!」


「おぉ〜高らかに脱ニート宣言したね」


「フッ、俺は信じてたぜ。やればできるって……」


「どうせ三日坊主でしょ」


「言ったな!?これで明日何の収穫もなく帰ってきたら許さないからな!!」


「安心しろ、俺新台は結構自信あるから!」


「パチンコの話をしてるんじゃねーんだよ!!」















     
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