短編小説
□君と僕。
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「尾崎ー」
「ういー」
「小野ー」
「あいーっす」
AM8:50。
担任が出欠確認をし、名前を呼ばれた生徒が次々に返事をしていく。
「神崎ー」
返事は無かった。
「……また遅刻か」
そう呟いて、名簿に記入をしようと担任が下を向いた瞬間。
バンッ!!
教室のドアが勢いよく開いて、金髪で制服を着崩した少年が入ってきた。
「………おはよう、神崎」
「……………」
担任の挨拶を無視して、自分の席につく神崎。
椅子の上で足を組み、無言で机を睨む。
先程までの空気が一変、生徒達は神崎に怯えるように、黙りこくってしまった。
教室に張り詰める殺気にも似た空気を感じ取り、担任が口を開いた。
「あー………出欠確認の続きするぞー。木村ー」
「…はーい」
「近藤ー」
「はい」
神崎はいつも、授業中は保健室でサボるか、机に突っ伏して寝ている。
この日の授業も、神崎はずっと居眠りをしていたが、それを注意する者は教師も含めて、誰もいなかった。