NETA

□喰種
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混乱に支配される

目の前の光景、彼は誰だ

暗闇に煌めく白髪

濃厚な血の匂い、散らばる肉片 喰種のか

カツリ。厚いゴム越しに伝わった微震動 転がった小石、血塗れの彼が振り返る

赤い赫眼、黒皮に覆われる片目


片目のマスクなんてよく在るデザイン、それでも彼が噂の張本人だと本能的に察する 項の毛が逆立つ
コイツ、強い


自分の獲物は目の前に転がっていた 隻眼に殺られたか、そこそこに強いと聞いていたが実際ソイツはどうだったのだろうか


「こんばんは」


思考を飛ばしていると、話し掛けてきた。
殺気ではないが、なんだろう。
緊張感の様な――――。
殺気もないので黙ったまま観察していると、そのまま口を動かす彼。

曰く、喰種喰らいとまことしやかに囁かれる噂があるとか。
曰く、主な標的は食場荒らしや区内のルールを守らないSレートの喰種だとか。
曰く、特徴的な鱗赫の持ち主の割りに本人の目撃情報が少ない謎めいた喰種だとか、噂と違って実物は華奢だとか。

色々と喋ってはいたがよく回る舌だ空腹のせいか心無し美味そうだ 一週間前に喰ったばかりだけど、ということしか考えていなかった。
話が長いんだよ結論言え結論。


「―――で、そういう事なので僕に協力してくれませんか?」


ニコリ、マスク越しに微笑む彼。要は味方になるかここで死ねと。


「――――悪いけど、そういうの、興味ないから」



交渉決裂

同時に切って落とされる火蓋。


真夜中の静寂に、轟音が響いた




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