06/19の日記

20:29
《宝瓶宮にて》
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管理人の思い付きによる長編の裏話っぽいもの。

※ミロの扱いが酷いです。笑って済まして下さる方のみどうぞ!!


《宝瓶宮にて》

(長編の第七章、8ページ目あたり。ミロとカミュが宝瓶宮で夕食を食べています。)


ミロは夕食の皿を黙って見詰めていた。この男にしては珍しいことである。
気になったカミュはミロに尋ねた。

「どうした、ミロ?何をそんなに考えこんでいるんだ?」

「んー、俺が桐の葉に吹っ飛ばされた時なんだけど、誰も助けようとしたり心配したりしなかったなぁ、と思って。
俺ってさぁ、存在感薄い?」

そう言うとミロはカミュの目を見た。その様子はカミュに大型犬を連想させた。

「か……考え過ぎじゃないか?あの時はほら、桐の葉が急に現れたんで、みんな出方を決めあぐねていたんだよ」

カミュは笑顔で言ったが、その表情が僅かにひきつっていることに、考えこんでしまっているミロは気付かなかった。

「そうかなぁ……」

「聖域にアテナ以外の神が現れたんだぞ?それも日本の。誰だってどうしていいか迷うさ」

カミュは何でもいいからもっともらしいことを言ってミロを納得させ、この話を反らしたかった。
…………壁に叩き付けられたミロをほったらかしたのは、正直なところ悪かったと思わなくもない。これが氷河やアイザックだったら駆け寄っていたかもしれない……が、氷河とアイザックは弟子だ。師匠の自分が助けなくてどうする。ミロは一応大人だ。それに黄金聖闘士だ。助けるも何もありはしない。

「でもさぁ、俺、二回目なんだぜ?」

「へ?」

カミュは思わず間の抜けた声で返した。
ミロは真面目な顔で言った。

「ほら、前に処女宮でサガのギャラクシアンエクスプロージョンくらって吹っ飛ばされた時も、基本放置だったし。
二度あることは三度あるって言うじゃないか。もう一回くらい、何かあってもほったらかされるかな〜、って。
それって俺の存在感が薄いからじゃないかと思うんだよ」

ミロの言葉がぐさぐさとカミュに突き刺さった。ミロに悪気はない。自分の疑問を素直に言っているだけなのだ。それは分かっている。
処女宮でミロをぶっ飛ばしたのはサガだが、自分もそこにいた。あの時は敵味方に別れていたから、ミロを助けるわけにもいかず、おまけにシャカに四感まで剥奪されてボロボロだった。
どうしようもない事情や状態というものは、世の中に往々にして存在する。
それに、あのあたりの一連の出来事はあまり思い出したくない部類の記憶だ。

「それは、お前は頑丈だからほっといても大丈夫だとみんな思っているんだよ。つまり、お前はタフだと思われているんだ。安心されているんだよ」

この話を終わらせたい一心でカミュは言った。

「そうなのか?」

問い返すミロにカミュは勢い込んで言った。

「そうだとも!! あ、肉、もうちょっといらないか、ミロ?」

「ん、もらうよ」

「デザートもあるから食べていけ」

「お、いいねぇ。食べる食べる」

ミロの疑問はどうにか忘れられたようであった。

あの時はムウが、今回はカノンが注意したのだ。それなのに突っ込むこの性格を何とかしない限り、この親友は同じことをやらかすかもしれない。いや、やらかすだろう。
そうなった時は、自分がちゃんとミロをフォローしようと思ったカミュであった。

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