本箱

□ささやかな秘密
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俺もデスマスクも、身の回りの事は基本的に自分でやっていた。料理も簡単なものなら出来た。特にデスマスクは、子供ながら色々と工夫した料理を作って、たびたび俺やアフロディーテに食わせてくれた。

しかし、そんなデスマスクも菓子類は作ったことがなかった。俺も作ったことはなかった。

子供だから、菓子はそれなりに好きだったが、何と言っても食べ盛りのガキだ。おまけに毎日修業に明け暮れて、腹は常に空いている。菓子より、がっつりと食えて腹にたまる食事に手がのびる。

その場の勢いで、アフロディーテに桃ゼリーを作ってくると約束してしまった俺とデスマスクは、サガに頼んで外出許可を取ってもらった。

俺達の次の行動は、子供ではあっても真っ当な判断に基づいたものだったと思う。

本屋へ行って、レシピの載った本を探したのだ。

デスマスクは、いちいち調べるのは面倒だと言ったが、俺が二人ともゼリーなんて作るのは初めてだということ、食べるのは病気のアフロディーテだと言ったら、納得してくれた。

本屋で製菓関係の本をさんざんひっくり返して適当な本を探し、手に入れた。その後、レシピの材料を買い集めて磨羯宮に戻った。

とにかくレシピ通りに作ってみた。


すると、一応出来たのだ。念のために三人分作り、俺とデスマスクで試食をしたが、まあまあ美味かった。
そこで約束通りアフロディーテに持って行った。アフロディーテは、ものすごく嬉しそうに受け取ってくれた。程なく、アフロディーテは全快した。


元気になったアフロディーテは、その後、俺とデスマスクに自分の食べたい物を遠慮なく言うようになった。
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