ヘウン


□残像 3
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「...え、言わな...かった?...ドンへに?」

「...うん。いろいろ迷惑かけたのにごめんなさい、ヒョン。」

「...いや、それは別にいいけどさ...、
何かあったの?」



今日のバスにはまた、俺の秘密を知っているメンバー3人が集まっていた。

マネヒョン、トゥギヒョン、ソンミニヒョンだ。

俺からの意外な報告に、みんな口をあけて驚いている様子だった。



ドンへの部屋に行って一緒に寝たあの日から2〜3日たってからの報告となってしまったことに、俺は反省した。

あれだけの勇気をくれたヒョン達に申し訳ない気持ちと、勇気を出し切れなかった自分を情けなく思う気持ちと、なんだか入り交じった自分の感情が怖かった。


「...あったといえばあったけど、...
別にドンへと衝突が起こったわけじゃない」

「...じゃあどうして...、あんなに決意固かったのに....」

「...ヒョン、俺さ、やっぱり...、」

「...なに」

「...ううん、なんでもない。
...ただ、駄目だと思ったんだ。
俺の気持ちを伝えたら、俺とドンへの関係は崩れる...、とか、そういう問題じゃなくてさ...。」

「?うん」

「...急に、ドンへが怖くなった...、んだ。」

「....。」

「...俺ってつくづく人見る目ないな〜、って思った。」

「....。」






********




《ドンへ側》




********




最近、ヒョクが変だ。
俺といると、辛そうな、でもどこか幸せそうな顔をする。

目の前に子どもがいるのに、抱きしめてあげられない母親みたいな。

いや、そうなると俺は子どもか。

俺と話してると、いきなり泣きそうな顔をしたりもする。

もともと大きくて、黒くて、綺麗な目を
さらに大きく見開いて、その瞳に俺を写すんだ。

俺にとってヒョクは親友だし、メンバーだし、家族みたいなものだし。


一度だけ、ヒョクチェに言ってみたことがある。


”最近どうしたの?”
”食欲ないね”
”どこか調子悪いなら、病院行きなよ?”


それを言ったとき、ヒョクは困ったような顔はしていたけど、どこか嬉しそうだった。



”...ありがとう、そうする。”

そう言っていたあの日のヒョクチェは、いつも以上に輝いていて。

きらきらした笑顔が、眩しかった。




俺は昔から、何度この笑顔に救われてきたのだろう。

ヒョクチェが大切で、彼と同じグループのメンバーになれたことが、すごく嬉しかった。

俺がヒョクチェと一緒にいるようになって、俺のヒョクチェに対する独占欲は増していった。

ヒョクチェは友達が多い。
その分、友達一人に割ける時間は普通の人より少ない。
でも俺は、ほかの人間が俺より長い時間、ヒョクチェのそばにいることが許せなかった。


────ねえヒョク、今夜は誰とあってるの?
────共演者で飲み会?
────なにそれ、なんで俺は呼んでくれないの?
────なんで俺は、共演者じゃないの?


寂しがり屋の俺は、側に誰かいないと死んじゃうんだよ?

俺をおいて、共演者をとったのはヒョクじゃんか。

なのに寂しくてたまたま宿舎にいたメンバーと一緒に寝てるのを見ると、ヒョクチェはとてつもなく悲しそうな顔をする。


「...ヒョクチェのせいだもん...」


そう呟くと、ヒョクチェはまた困ったような顔して、俺を見るんだ。




ねえヒョクチェ。


君のその透き通った瞳に映り続けてるのは、俺だけだよね?

もし違うなら、正して。

俺以外を見ないで。

ヒョクチェの一番の親友はこの俺でしょ?

ヒョクチェとの時間を取るために、俺は彼女との約束をほっぽり出して君に会いにいくんだから。


この自分でも怖いくらい純粋な感情が、俺の原動力なんだ。


子どもは成長したら親離れしないといけないって言うよね。

でもそれって同時に、親も子ども離れしないといけなってことなんだ。



────ヒョクチェから離れないといけないって言うなら俺、一生子どものままでいい。



そんな俺の言葉を聞いて、周りのメンバーは俺によく言う。


「それって恋なんじゃないの?」



...は?
何言ってるの?

大切なヒョンたちだけど、そんな事だけは言わないで欲しい。



そんな軽々しいものじゃないの。

恋?
だって俺もヒョクも男だよ?

そんな事、あるはずないじゃない。



俺たちは一生親友。




互いに互いがいなきゃ生きていけないくらいの関係じゃなきゃ、俺は満足しない。


俺もヒョクも、きっと結婚なんてできないよ。





そんな事したら、互いに会える時間が限られちゃうでしょ?



ヒョクって女の子と付き合ってもそんなに長く続かないでしょ?

ヒョクチェは気付いてないんだろうけど、あれ俺のせいなんだ。

ヒョクの彼女口説いて、ヒョクチェと別れさせるの。


ヒョクチェも馬鹿だよね、本当。

あんなにコロコロ心変わりする女の子ばっかり好きになってさ。



...昔から、君が好きになる人は悪い奴ばっかりだ。











自分でも異常だってことくらいわかってる。

でも、俺がこんなこと思ってるなんてメンバーはおろか、誰も知らないよ。



家族ですら...ね。







...ああ、でも怪しんでる人達は居るんだった。





俺と一緒にいない時のヒョクチェを知ってる人達。




ソンミナヒョンと、あとシア・ジュンス。




でもあの人たちにだって、ヒョクチェは渡さないんだから。




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