石神秀樹

□初めてのバレンタイン
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そして、14日当日
大学からの帰りに官邸に立ち寄り、平泉に手作りチョコを届けた

平泉「羽純、ありがとう
   でも・・・コレは“誰か”の練習かな?」
『そんな事・・・ないよ』
ニッコリと笑う平泉に対して、一瞬、言葉につまる羽純

平泉「ふふっ、そうかい?
   けれど、娘から手作りを貰うなんて・・・
   父親としては、嬉しい限りだね」
『私も、お父さんが喜んでくれたら嬉しいよ?』
それでも、ニッコリと笑い返した


その足でSPルームに寄り、全員にチョコを手渡す
『あと・・・コレ、良かったら』
そう言って、手作りのチョコをテーブルに置いた
『お父さんに作った余りなんで
 1つづつになっちゃうんですけど・・・』

昴「へぇ、手作りか」
全員がそのチョコを覗き込み、まずは昴がひょいっと口に運ぶ
昴「ん、羽純、悪くないぞ」
『本当ですか?良かった』
まるでそれが合図のように、他のSP達も手を伸ばした

そら「じゃ、羽純ちゃんの手作りチョコ
   いっただっきまぁ〜す♪」
海司「あ、俺も」
瑞貴「僕ももらうね」

みんながヒョイヒョイっと口に入れる中
桂木が、躊躇いがちに羽純を見た

桂木「・・・良いんですか?」
『え?』
桂木「これ・・・
   他に、渡したい人が居たんじゃないですか?」
他のメンバーに聞こえないように言う

『いえ・・・』
桂木「それなら良いんですが・・・」
心配そうに覗き込まれ、羽純は少し苦笑する
ちょうどその時ドアがノックされ、石神が入ってきた

石神「桂木さん、先日の日程で・・・」
桂木に向かって歩きながら、羽純の姿をとらえる

石神「あぁ羽純さん、来られてたんですか」
『はい・・・』
微妙な笑顔を浮かべるのを、石神が不思議そうに見た

桂木「・・・石神、日程が何だって?」
声を掛けられ、桂木の方へ向き直る
石神「あ・・えぇ、この・・・」
書面を差し出しながら桂木を見た瞬間
ポイッ、と石神の口にチョコが放りこまれた

(!?)
SP達((なっ、何だ!?))
石神「・・・っ!?」
一瞬にして固まる室内と、ニッコリ笑う桂木

石神「なっ・・・何です!?」
とにかくチョコを飲み込み、桂木を軽く睨む
桂木「うまいだろ?
   羽純さんの手作りなんだそうだ」
意味ありげな笑みに、一瞬石神の顔が強張った

石神「手作り・・・?」
そう言いながら、羽純に視線を向ける
『えっ?あ、はい』
石神「そうですか
   ・・・悪くはないと思いますよ?」
スッと視線を逸らせながら眼鏡をなおした

『ありがとうございます・・・』
ためらいながら礼を言う羽純を、石神がチラッと見る
その表情が、少し複雑そうだったのを
羽純は気付いていなかった
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