桂木大地

□ダーツバー
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『私の桂木さんはスナイパーだから・・・』
羽純のその一言から、それは始まった

桂木班全員と羽純が居るのは、とあるダーツバー
次の演劇部の舞台でダーツをすることになった羽純に
やり方を教えるということで来たハズ・・・だった

教えるにあたり
誰が1番上手いか、という話になり
やはり桂木以外の全員が“自分”だと言って譲らない

そして
誰だと思うかを問われた羽純が言ってしまったのだ
『私の桂木さんはスナイパーだから』・・・と

『ごめんなさい、桂木さん
 何だか、おかしな事になってしまって』
ほんの冗談で言ったつもりだったのに
まさかSP達が競い始めるなんて思いもしなかったのだ

桂木「いや、キミは何も悪くはない」
優しく微笑むと、羽純の髪をそっと撫でる
桂木「キミに教えるのは誰かを決めるために競うなんて
   まったく、アイツ等ときたら・・・」
SP達の方へ視線を向けると、溜息をついた

桂木「仕方ないな
   羽純、少しココで待っててくれないか?」
『はい』
桂木が向かったのは、SP達の所ではなくカウンター
2〜3言葉を交わすと、羽純の所へ戻ってきた

桂木「羽純、おいで
   俺達は向こうでやろう」
SP達とは別の的でダーツをすることにした
桂木「俺もダーツは初めてだが・・・」
そう言いつつも、何度か投げているうちにコツを掴んだらしい

桂木「よし、羽純もやってごらん」
『うわぁ・・・当たるかなぁ』
桂木「あ、羽純、身体をもう少し、こう・・・」
羽純の後ろに回り、そっと腰に手を置いて姿勢を正す

桂木「腕はこうで、目線は真っ直ぐ・・・
   そう、このまま力を抜いて投げてごらん」
『えいっ』
桂木に言われたまま投げると、とりあえず的には当たった

『すごい、当たりました!』
桂木「キミの素直さが出たんだよ
   じゃあ、次はもう少しこう・・・」
アドバイス通りに投げると、思い通りの場所ではないにしろ
何とか的のどこかには当たる
何度か投げている内に、自然と身体が密着している事に気付き
羽純は急に真っ赤になってしまった

桂木「羽純、どうした?
   急に身体に力が入ったようだが?」
『いえ、あの・・・』
桂木「羽純?」

そら「あ〜っ、班長!
  そんなに密着して、ヤ〜ラしぃ〜」
桂木「なっ!?」
そらの一言に思わず羽純から手を離し、1歩下がる

昴「そうですよ
  いくら婚約者だからって、くっつき過ぎじゃないですか?」
瑞貴「見せ付けたい気持ちも分りますが・・・」
海司「そうですよ」
桂木「ちょっと待て、俺は・・・っ」
最初はうろたえていた桂木だが
ニヤニヤと笑うSP達に、徐々に顔色が変わった

桂木「元はといえばお前等が・・・っ」
海司「あ!」
そら「マズイ!」
瑞貴「班長の顔が」
昴「・・・鬼の形相だな」

桂木「もういい、分った!
   明日は急遽トレーニングだーっ!!」
その一喝に首をすくめるSP達
やっぱり、いつも通りな展開だと
羽純は微笑みながら眺めていた

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