桂木大地

□護りたい
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一方・・・
羽純はジリジリと後ずさりするが、その場から逃げだせないでいた
男が羽純に向かって刃物を振りかざして向かってくる
(逃げなきゃ・・・っ!!)
本能的にそう思うものの、刃物から目を逸らす事もできない

桂木「羽純っ!!」
それに気付いた桂木が、羽純に向かって走り出す
桂木(間に合ってくれ!)
羽純を掴もうと、精一杯手を伸ばした

『・・・・・・っ!!』
刃物を振り回す男を前に
膝がガクガクと震えだし、もう動けない
男「うわぁぁぁっ!」
羽純の目前に、男が迫っていた

しかし
辿り着いたのは、ほんの少し桂木の方が早かった

桂木「・・・っ!!」
羽純を抱き締めた瞬間、背中に痛みが走る
そして、羽純も、桂木の血が飛び散るのを見た

(え・・・っ!?)
顔に温かい液体が、数滴かかった感触がある
それが桂木の血だと気付いた瞬間、頭が真っ白になった

一気に力が抜け、羽純が膝から崩れ落ちる
桂木も、羽純を抱き締めたまま膝をついた

桂木「・・・・っ、う・・・」
昴「班長っ!」
少し遅れて、昴が警官隊と共に駆けつけ、男を取り押さえる
昴「大丈夫ですかっ!?」
桂木は苦痛に顔を歪めながらも、気丈に昴を見た

桂木「総理は!?」
昴「海司とそらが付いて、移動済みです」
桂木「そうか・・・
   悪いが・・・昴、彼女を・・・頼む」
そう言うと羽純から手が離れ、そのまま倒れてしまった

昴「班長っ!」
桂木の背広が、背中いっぱいに血で変色している
急いで近くの警官に声をかけ、桂木のことを頼んだ

昴「おい、羽純、立てるか?」
ペタンと座ったままの羽純の肩を叩く
しかし、羽純は顔に付いた血もそのままに
放心状態で宙を見ているだけだった

昴(・・・無理もない、か)
いきなり羽純を抱き上げると、そのまま裏口へと向かう
急いで裏口から出ると、昴から連絡を受けた瑞貴が、既に車を回していた

瑞貴「羽純さんっ!?」
昴に抱き上げられた顔面蒼白な羽純に驚きの声をあげる

昴「羽純は問題ない!すぐ車を出せ!!」
瑞貴「っ、了解っ!」
昴が羽純を抱き上げたまま乗り込むと、そのまま官邸へと向かった
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