その他 SP達
□【後藤誠二】待ち合わせ
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色とりどりの浴衣をまとった女性達
明るい提灯の光
そして、楽しそうな人々の声と祭囃子
鳥居の向こうは、夜の闇から切り離されているようだった
その鳥居の下で、彼女が待ってる
暗がりと明かりが交じり合うその場所で
彼女も浴衣を身にまとい、花の髪飾りが風に揺れていた
『あ・・・』
近づいた俺の顔を見て、微かに表情が曇る羽純
そうだろうな
残念ながら、俺は彼女の待ち人じゃない
『こんばんは、後藤さん』
ニッコリと微笑みながら見上げるのはいつもの笑顔
『心配で見に来てくれたんですか?』
アンタは、いつもそうやって悲しい顔を見せないんだ
彼女が待っていたのは俺の上司
後藤「石神さんは・・・」
『ううん、良いんです』
少し残念そうに、けれど優しく微笑む
『私が、もっと早く聞いてみれば良かったんです』
そう・・・
羽純が石神さんを誘うメールをしたのは昨日
けれど、それは俺と黒澤がそう勧めたからだ
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