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□【後藤誠二】日記帳
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ふと手に取った分厚い冊子
それは真っ黒な革の装丁で、どうやら日記帳らしい
ひっそりと彼の書棚に入っていた

パラリと表紙をめくると、数ページが破り取られている
その後は全て白紙だった

(良かった・・・)
私は、何を期待していたのだろう
彼の日記が書かれてなかった残念感
白紙であることの安心感

残ったのは、破り取られたページへの不安感

(・・・戻しておこう)
何かが心の奥で警鐘を鳴らしている
早く本棚へ戻さなければ・・・

けれど、ソレは私の手から滑り落ちた

『あっ!!』
バサッと音をたてて床に落ちる日記帳
急いで拾い上げようとした手が止まる
まるで私に見せるように、最後のページが開いていた

“I love every little thing about you”

これは誠二さんの字
どうして、こんなものを見つけてしまったのだろう
書かれたインクが、少し色褪せているように見える
これはきっと“彼女”に宛てたものに違いない

“あなたのすべてを愛してる”

私に似た女性だったと聞いた
誠二さんが本当に大切にしていた
・・・いえ
今でもお墓参りに欠かさず行くほど大切な女性

心が鉛になったように重い
そっと日記帳を拾い上げると本棚に戻した
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