石神秀樹

□警護 〜2人きり〜
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講義を終えたらしい羽純が駅に向かって歩いていると
後ろから来た車が、スッと左横に停まった

石神「羽純さん!」
運転席の窓を下ろし、石神が顔をのぞかせる
『え?あれ、石神さん!?』
一瞬身構えた羽純だが、
声の主を確認すると、驚いたような表情に変わった

石神「行き違いにならなくて良かった
   説明は中でしますので、乗ってください!」
『え?あ・・・はい』
何だか分からないが、助手席に回り込んで乗り込む
運転席の方では、石神がどこかへ電話をかけていた

石神「石神です、羽純さんを保護しました
   ・・・えぇ、今のところコチラは問題ありません」
どうやら電話の相手は桂木らしい
確か今日は、平泉の警護で遠方に出ているハズだ

石神「仕方ありませんね
   羽純さんを1人にするわけにはいきませんから」
そう言って電話を切ると、羽純の方を見る

石神「とりあえず移動します」
『はい・・・』
キョトンとする羽純から視線を前方へと移すと
そのまま車をスタートさせた

『えっと・・・何か、あったんですか?』
石神「総理宛ての脅迫状が届けられたそうです」
『脅迫状!?』
総理の演説を中止しなければ、講演会で騒ぎを起こす
・・・といった、よくある内容の物だったらしい

石神「総理の方は、問題ないと思うのですが
   貴女の事も書かれていたので念のため」
『私も?』
石神「ええ、貴女は総理の唯一の身内ですから・・・」

『そう・・・ですか』
そう答えながら、不安気に俯いてしまう
石神「・・・心配するな」
『え・・・っ?』
口調の変わった石神の方を見ると、チラリと視線が合った

石神「貴女の事は、私が責任をもって警護します」
再び仕事口調に戻った石神を、羽純は不思議そうに見つめる
『はい・・・』
けれど、安心したようにニッコリと微笑んだ
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