石神秀樹

□ひとときの
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貴方の細く長い指
それが、私の身体を服越しに撫でる
最初はそっと優しく、指先だけで触れるように・・・
それだけで私の身体がピクンと跳ねた

『ゃ・・・ん』
我慢しても、思わず吐息が漏れてしまう
私ってイヤラシイの?
もっと触れて欲しいって思ってるなんて

石神「フッ・・・」
耳元で貴方が意地悪く嗤う
石神「そんな顔して・・・
   まだ、何もしていないだろう?」

そう、貴方は腕や背中を緩やかに触れるだけ
真っ赤になっているだろう私を抱き寄せると
クスクスと笑ながら、私の背中に手を回した

プチ・・・プッ・・・

服越しに背中のホックが外され、広がる開放感
『・・っン』
腰から胸元に滑り込む、ひんやりとした掌
胸の形にそって包まれた瞬間、同じ体温になる

石神「羽純・・・?」
熱を帯びて囁かれる甘い声
耳からうなじ、そして首筋へと移動していく唇
胸を優しく弄ぶ手
貴方を感じながら、意識が甘く溶けていく

『ん・・・』
身体が熱い
気を抜いたら、膝から崩れ落ちてしまいそう

石神「声、我慢してるのか?」
意地悪な貴方が、そう囁く
耳元に唇を這わせながら低く笑った

『だ・・・って・・・』
誰かに聞かれたら恥ずかしい
だってココは、脇道に逸れてるとはいえ、官邸の廊下の片隅
人目に付かないよう、物影に隠れてはいるけれど・・・

石神「そうだな
   総理に見つかったら、この場で殺されそうだ」
そう言って笑うと、貴方は何事も無かったように離れてしまう
『あ・・・』
私はきっと、強請るような顔をしているに違いない

石神「・・・続きは、今夜」
その低い声は、甘く激しい夜を予感させるものだった

------------------------- END ---

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