石神秀樹

□寝顔
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明け方、羽純がぼんやりと目を覚ました
まだ外は暗いだろうという気配を感じる
もう少し寝ようと、モゾモゾと布団へもぐりなおした

身体を横に向けると、目の前に人の気配
(?)
そっと目を開けると、そこには石神の寝顔があった
(あ、そうだった・・・)


それは昨夜、23時も過ぎた頃のこと・・・

羽純の携帯から、着信を知らせる音楽が流れた
『もしもし?』
石神「・・・こんな時間にすまない」
いつもの声と、何だかトーンが違う気がする

『いえ、どうかしたんですか?』
石神「その・・・今から・・・」
そう言いかけたが、ふと黙り込んでしまう

『・・・石神さん?』
そう促すように声をかけると、躊躇いがちに言葉が続いた

石神「キミの部屋に行っても・・・いい、か?」
『えっ?』
石神「実はもう・・・前に居るんだ」

その言葉を聞き、急いでドアを開けると
そこには、苦笑を浮かべる石神が立っていた


石神を部屋に招き入れると、お茶を出し
羽純もテーブルを挟んだ向かいに座る
石神「・・・本当に、申し訳ない」
ネクタイを外しながら、溜息まじりにつぶやいた

『お酒・・・飲まれてるんですね?』
見た目は何も変わった様子はないが
眼鏡に隠された目元が、ほんのりと染まって見える

石神「警備部に行ったら、桃田部長につかまって・・・」
苦笑する石神が何だか弱々しく見えて、羽純が心配そうに覗き込んだ

石神「無性にキミに会いたいと思ったら・・・
   つい、来てしまった」
『何か・・・あったんですか?』
そう言いながら、そっと石神の横へと座る

石神「いや・・・、ただ会いたいと思ったんだ
   やっぱり迷惑、だった・・・よな?」
俯いてしまった石神を、ふわりと羽純が抱きしめた

『迷惑なんて・・・
 そんなこと、言わないでください』
包み込むように抱きしめられ、石神もおとなしく身を任せている

『私、嬉しいです。会いに来てくれた事・・・
 いつもとは違う姿を私に見せてくれるってことは
 それだけ、私に気を許してくれてるって事ですよね?』
腕をほどきながら微笑みかけると、石神の手が伸びて唇が重なった

石神「本当にキミは・・・」
愛しそうに見つめ、柔らかく微笑む
石神「だから、どうしても手に入れたかったんだ」
さらりと髪を撫でると、立ち上がった

石神「・・・帰るよ」
『え?』
石神「女性の部屋に居ていい時間じゃない」

・・・そう言って苦笑を浮かべる石神を、羽純が引きとめ
1つしかないベッドで眠る事になったのだった


 ・
 ・
 ・

(ふふっ、可愛いかも・・・)
無防備な顔をして眠る石神を眺めながら、クスクスと笑う
なんだか幸せな気分に包まれていた

石神「ぅん・・・」
(あ・・・起こしちゃった?)
思わず、口を手で押さえて息をのむ
しばらく様子を見ていると、ぼんやりと目を開けた石神と目が合った

石神「あぁ・・・羽純・・・」
ゆっくりと手を伸ばし、羽純の身体を引き寄せる
石神「もっと、側に・・・」
キュッと抱きしめると、再び眠ってしまった

一瞬驚いて身を固くした羽純だが
聞こえてくる石神の寝息にクスッと笑う
石神の腕に包まれながら、羽純も再び眠りにおちた
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