石神秀樹

□ただいま
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某所、ある日の深夜
なるべく音をたてないようにカギを開け
部屋の主が帰ってきた

無言のまま中へと入り、部屋の電気を点ける
そして、そのまま窓際へ向かうとカーテンを閉めた

石神「はぁ・・・」
今回の潜入捜査は少し長かった
なかなか手がかりが掴めず、手間取ったと言った方がいい
けれど、それはよくある事

上着をハンガーにかけ、ネクタイをはずす
ソファーに深く身を沈めると
その瞬間、“我が家に戻った”と感じるのだった


翌日・・・
その日は久しぶりの非番
普段通りに目覚め、朝食を済ませると
洗濯機を回しながら掃除を始めた

あまり家に居ないせいもあって
部屋の中はシンプルというより殺風景
それでも久しぶりに戻ると、必ず掃除と洗濯は行っている
別に家事が好きなわけではないが、片付いてる方が好きなのだ

石神(少し・・・出かけてみるか)
ふと思い立ち、ブラリと街へ出かける
デパートへプリンを買いにいくのも良い
本屋へ行って、読みたかった本も見てみよう

・・・そう思いながら歩いていると
偶然、向こうから歩いてきた羽純と出会った

『あ、石神さん!』
石神「あぁ、羽純さん
   偶然ですね、お一人ですか?」
『はい、ちょっと材料を買いに』
そう言いながら、手に持っていた袋を見せる

『今度の衣装の飾りなんです
 石神さん、今日はお休みなんですか?』
スーツではない石神を珍しそうに見た
石神「えぇ、まぁ・・・」
たまには休みくらいありますよ、・・・と言いながら苦笑する

じゃ、時間ありますか?・・・と言われ
羽純がカフェに行くことを提案してきた
石神も断る理由がないので、それを受けることにし
横に並びながら歩きだした


他愛も無い話をしながらお茶をする
それも女性と一緒に・・・
羽純と親しくなるまでは、何年も無かったことだ

石神(周りから見たら、どう見えてるんだろうな)
兄妹?友人?それとも・・・恋人?
石神(羽純さんが自分のものだったら・・・)
ふとそう考えてる自分に、石神は心の中で苦笑する

石神(いや、それは無いだろうな)
表情こそは変えないが、少し寂しい気分になった
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