石神秀樹
□初めてのバレンタイン
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2月に入り
テレビでも街中でも、チョコの情報が溢れている
そんな中、羽純も今年のチョコをどうするかで迷っていた
石神と付き合ってから、初めてのバレンタインデー
本来なら、ドキドキしながら悩むハズなのだが
羽純の表情は重く、途方に暮れたような溜息が漏れた
・・・それは数日前
桂木との打ち合わせで、石神が官邸に来ている時の事
挨拶をしようと、羽純がSPルームの前に立ち
ドアをノックをしようとした時
ふと、中の会話が聞こえてきたのだ
石神「・・・バレンタイン、ですか?
私は、あまり興味がありませんね」
まるで“なぜそんな事を聞くのか?”とでも言いたそうな声
そら「石神は貰ったこと無さそうだもんな」
そう言ってクスクスと笑った
石神「いえ、受け取らないだけです」
眼鏡を上げながら少し厳しい顔をする
石神「製菓業者に踊らされ、チョコを買って配る
・・・馬鹿馬鹿しいとは思いませんか?」
瑞貴「僕は、貰うのは嬉しいですけどね」
そら「だよね!
14日の女の子達って、何だかキラキラしてるし♪」
石神「はぁ・・・くだらない」
呆れたように溜息をついた
(馬鹿馬鹿しい・・・か)
ドア越しに聞こえた会話に溜息をつく
何となく中に入るのが躊躇われ
羽純は、そのまま立ち去ってしまった
(あんな会話、聞いちゃったらなぁ・・・)
偶然聞いてしまったとはいえ
聞いてしまった限り、石神にチョコを渡すのは躊躇われる
とりあえず、SP達に渡す分だけを買うことにした