桂木大地

□オレの・・・
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ある午後の昼下がり
本庁での会議を終えた桂木が、官邸に戻ってくると
SPルームに誰もいない
確か、早番で上る瑞貴が居るハズなのだが・・・

不審に思いながら、羽純の部屋の前へ来ると
SP達の笑い声が、外まで漏れ聞こえてきた

桂木(あいつら・・・!!)
腹立たしさを抑えて、部屋をノックする
だが、中の声に掻き消されたのか返事は無く
深く溜息をつくと
もう1度ノックして、ドアを開けた

桂木「お前ら!ここで何やってるんだ!?」
いつも通りの一括を浴びせる
だが、その声も掻き消されてしまったらしい
瑞貴「あ、班長・・・お帰りなさい」
気配を感じた瑞貴が、涙目になりながら振り返った

桂木「だから・・・
   何をやってるんだって聞いて・・・」
そう言いかけた桂木を昴が遮る

昴「とにかくコレ、見てくださいよ」
身体を横にずらせたその向こうでは
レースとフリルたっぷりのドレスを着て
メイクも施された海司が、不機嫌そうに座っていた

桂木「なっ?海司!?」
昴「なかなか面白いでしょ?」
ククッと喉の奥で笑う

桂木「お前・・・女装警護でもしたいのか?」
呆れたように言う桂木の言葉に、再び笑いが大きくなった

海司「冗談じゃないですよ!!
   羽純が演劇の衣装を持ち帰って
   フリルの位置を見たいから着てくれ、って言うから!!」
昴「で、ついでにメイクもしたんだよな」
その時を思い出したように、ニヤニヤと笑う

海司「やらせたのは一柳さんでしょ!?」
昴「でもお前、おとなしく羽純にメイクされてたじゃないか」
そう言うと、我慢しきれないように笑いだした

桂木(・・・?)
だが、そのメイクをしたという羽純の姿が無い
昴「あぁ、羽純ならメイク中ですよ?」
桂木が部屋を見回していると
その様子に気付いた昴が声をかけた

桂木「メイク中?」
入ってきた時の怒りが治まり、不思議そうな顔をする
昴「もう1着、別の衣装があったので・・・
  羽純の方は、そらにメイクさせてます」
そう言うと、クスッと楽しそうに笑った

昴「・・・桂木さんには、目の毒かもしれませんね」
意味ありげな笑みを浮かべ、桂木を見る
桂木「え?(目の毒?)」
昴に問いかけようとしたが、そらの声に遮られた

そら「お待たせ〜♪」
衝立代わりにしたクローゼットの扉の向こうから、顔をのぞかせる
そら「あれ、班長?
   ・・・戻ってたんですか?」

桂木「あぁ」
扉の向こうでは、何が起こっているというのか
すっかり毒気を抜かれたかのような表情だ

『えぇっ!?桂木さんが居るんですかっ?』
扉の向こうから、驚いたような声が聞こえる
そら「あぁ、うん、もう帰ってきたみたい
   ・・・ほら、羽純ちゃん、出てきなよ」

『桂木さん、居るんですよね?
 さすがにコレは・・・恥ずかしいです・・・』
桂木(恥ずかしい・・・?)
もう、桂木には何が何だか分からないでいた

そら「大丈夫、可愛いって
   ・・・ほらぁ」
羽純の腕を掴んで引っ張るが、出てくる気配がない
そら「もぉ、しょうがないなぁ」
すっと扉の向うに戻り、どうやら羽純を押し出そうとしてるらしい

『え?やだ、そらさん!?』
そら「ダぁメ、もう観念しなよ」
『きゃっ!!』
そらに、思い切り押し出されたのだろう
羽純が扉の影から飛び出してきた

そら「どう、どう?
   普段の羽純ちゃんってナチュラルメイクだから
   ちょっと派手めにしてみましたぁ〜」

得意満面な笑みを浮かべるそらとは対照的に
羽純は、身体を小さくして立っている
恥ずかしそうにモジモジとしながら
少し横を向いた状態で俯いてしまっていた

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