ひとり語り

□【その他】上司達のバレンタイン
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2012年 2月

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2月に入ると、何だか周りが騒がしい
そう、バレンタインという行事だ
まったく・・・
あんなもの、菓子業界の売上貢献にすぎないというのに・・・

石神(ん?あれは・・・)
捜査課との打ち合わせを終え、廊下を歩いていると
その前方に、婦警達が桂木さんを囲んでいる場面に遭遇した

桂木「いえ、あの、私は・・・」
本当に、あの人は女性をあしらうのが苦手らしい

婦警1「貰ってくれるだけで良いんですよぅ」
婦警2「桂木警部、私のもお願いします〜」
婦警3「警部〜、私の手作り貰ってくださぁい」
桂木「本当にお気持ちだけで結構ですから・・・」

あぁ、半ば強引にポケットに押し込まれてるじゃないか
はぁ・・・
まったく、あの人は優しいというか何と言うか・・・

その団体の横を通り抜けようとしたその時
桂木「石神!」
石神「・・・・」
桂木「ちょうど良かった、お前に用があったんだ」
渡りに船とばかりに、婦警達から離れて来る

そのまま、逃れるように喫茶店へ

桂木「・・・助かったよ」
かなり体力を消耗したような顔で溜息をつく
石神「何をやってるんです?
   かき分けて逃げれば良いでしょう」
桂木「いや、相手は女性じゃないか
   無理に押し退けて怪我させる訳にもいかないし・・・」
石神「そうですか?
   そもそも、立ち止まらなければ良いんじゃないですか?」

桂木「なるほど
   お前の場合、その冷たさが人気だというのは嘘じゃなさそうだな」
石神「どこからそんな話が・・・」
いや、こういう事を言いそうなのは黒澤か
・・・ということは、広末から聞いたと考えるのが妥当だな

桂木「結婚したい相手としても人気が高いとか・・・」
石神「はぁ・・・」
思わず溜息がもれる
あぁ、頭痛がしてきそうだ
石神「桂木さんこそ、上位だと聞きますよ?」
桂木「はぁっ!?」
やれやれ、この人はどこまで自分に無頓着なんだか

石神「少しは自分の人気ぶりを自覚したらどうです?」
桂木「俺はそんな・・・」
そう言いかけて溜息をついた
桂木「いや、何でこんな話になったんだ?」
石神「貴方が婦警達に囲まれていたからでしょう?」

桂木「あ、あぁ・・・そうか、そうだな
   しかし、毎年この時期になると登庁が増えるんだよな
   桃田部長の陰謀としか思えないんだが・・・」
石神「ま、十中八九そうでしょうね」
桂木「やっぱりそうなのか?はぁ・・・」

??「あ、石神さん!こんな所に居た!!」
この声は・・・あぁ、面倒なヤツが来たな
石神「黒澤・・・」
黒澤「もぅ!探したんですよ!!
   いくら事務所に戻りたくないからって・・・」
やれやれ・・・頭が痛い
黒澤「石神さん宛のチョコが溜まってますよ?」

桂木「チョコが・・・溜まる?」
黒澤「そうなんですよ!
   本人が受け取らないもんだから、石神さんが留守の時を狙って
   女性たちが持ってくるんです」
桂木「へぇ、そうなのか」

石神「まて、黒澤!
   お前が勝手に受け取ってるだけだろう!」
黒澤「だって、可愛そうじゃないですかぁ
   一生懸命選んで、一生懸命作って持ってくるんですよ!?」
今年は、コイツのせいでチョコを置いていく女性が増えた
『渡しとくね〜』とか言ってコイツが受け取るからだ

桂木「・・・石神」
石神「なんです?」
桂木「お前も、苦労してたんだな」
そんな同類を憐れむような顔で肩を叩かなくても・・・
あぁもう、言い返すのも面倒になってきた

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