桂木大地

□紅葉
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しばらく舞い落ちる紅葉を眺めていると
食事の膳に、ビールが数本
続いて、氷に差し込まれた冷酒が運ばれてきた

桂木の側には七輪が置かれ
何種類かの食材が盛られたカゴも置かれる
羽純の前には懐石の膳が置かれた

『ふふっ』
出揃った食事や飲み物を見て、羽純が笑う
桂木「どうした?」
『桂木さん、本当に来慣れてるんだなぁ・・・って思って』

女将「お連れ様にはコチラを・・・」
そう言って女将が出してくれたのは、杏酒の小瓶

女将「当館で作った物なのですが
   女性のお客様に好評をいただいておりまして・・・
   こちらのお水で割って、お飲みください」
『あ、はい、ありがとうございます♪』

女将「あぁ、こちらに烏龍茶も置いておきますね」
桂木「ありがとう」
女将「いいえ、どうぞごゆっくり」
色々と揃えると女将は立ち去り、後には川のせせらぎだけが残った

『本当に静かですね・・・』
桂木「あぁ・・・
   紅葉もちょうど色付いているし、良いタイミングだったな」
早速ビールの栓を抜き、手酌でグラスに注ぐ

『あ、注ぎます』
桂木「いや、気にしなくていい
   羽純には、普通に食事を楽しんでほしいんだ」

『じゃあ、お言葉に甘えていただきます♪』
食事に箸をつける度、嬉しそうに「おいしい」を繰り返す
ゆっくり桂木と話をしながら食事するのも、久しぶりだった

羽純が食事を終える頃には、既にビール瓶が全て空になり
桂木は、いつの間にか冷酒を飲み始めていた
羽純も杏酒が美味しかったのか、半分少し程空けていた
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