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□野良犬のような生き方
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なんてこった。なんてこった。
スリに遭った。なんて言えばああ、ロニ様ってヌケてるところもあるのね素敵!という黄色い声も上がりそうなもんだが
俺たちパーティの全財産を先ほど預かったばかりの俺にしてはそんな黄色い声にいちいち花束を用意する余裕もない。


「ナナリー、ちょっと耳貸してくれ」


カイルには言うな、特にジューダスの野郎には言わないでくれ。
そう前置きして財布が見つからないことを耳打ちすると、一瞬であのナナリーの顔が青ざめた。


「なんてことしてくれたんだい!」

「シーッ!バカ!シーッ!」


不審な目つきで俺を見るジューダスに引きつった笑みを見せ、
ナナリーとこそこそ路地裏に隠れる。

どうする、どうしよう、なんて話してる内に嫌なビジョンが頭を掠める。


雑貨屋の裏で廃棄されたグミを集める俺たち。
宿屋の裏で残飯を漁る俺たち。
路上で寝るカイルに風邪をひくナナリーにどんどんみすぼらしくなっていく服の俺とジューダス。

なんてことだ。なんてことだ。
「それだけはごめんだよ」と言った彼女も相当焦っているようでいつもの気丈さの欠片もない。


「もう一度ポケット探してみな!」


ナナリーの言葉にポケットを漁る。ケツポケも忘れずに漁る…って、あれ。


「ナナリー。俺お前に謝んなきゃいけねぇことがある…」

「もしポケットにはいったまんまでしたって言うんならあんた一回死にな」



野良犬のような生き方

 

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