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□メンクイで何が悪い!
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「誰でも彼でもいいって訳じゃねえんだよ」
道行く女の子を目で追いながらロニが呟いた。
会話の端々に「あ、あの子いいなぁ」なんて独り言のようにぶつぶつ言い、
かと言って私との話を放り投げてまで追いかけて行かないのはなんだかロニらしいと言えばロニらしい。
ちらり、とこちらを見る視線とぶつかる。
なんだい、と聞けばロニは低くうなる。
「ナナリーはちげぇな」
くっくと喉を鳴らすような笑い声と陰口を言われたかのような感覚に苛立ちを覚える。
だからなんだい、と話を催促するとロニは1、2歩歩いて私と距離を取りながらこう言った。
「中身は二の次ってことさ」
ああなるほど、あんたは顔がよければいいって訳なんだね。それって後から痛い目見るんじゃないかい?
そこまで言ってさっきの言葉を思いだし、逃げるロニを全力で追いかける。
メンクイで何が悪い!