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□バカにつける薬はなし
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「痛ェ」とロニが泣きそうな声で漏らした。
こんな事でなくんじゃない!と言いたい所だが、ロニの頬には酷い引っかき傷。
どうかしたのか問うてもただ口をつぐむだけ。
不思議に思いながらも急いで救急箱を探す。
この宿には客室に救急箱などおいていないようで、仕方なくリアラにロビーに行って借りてくるよう頼んだ。
「大丈夫かい?どうしたってんだよ全く」
魔物にやられたのならあたしが仇討ちしてきてやるよ!とガッツポーズを見せると、
ロニはなんだか申し訳無さそうにそうっと口を開いた。
「一人目の女の子、口説いて、二人目の女の子、口説いたら、一人目の子にやられたんだよ」
ばちーん!宿屋全体に響き渡る平手の音。
「ナナリー!借りてきたわ!…って、え、ロニ、大丈夫?」
「ああごめんよリアラ。やっぱりそれ要らないよ」
バカにつける薬はなし