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□くじ運の悪さに涙して
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突っ込んだ手を箱の中でぐるぐるかき回す。掴んだ紙には「10」と書かれていた。

少人数の学校で育ったから知らなかったが、東京の学校には席替えというものがあるらしい。
くじで次に座る席を決める、というやつだ。
目が悪い奴は優遇されるが俺は特別目が悪いってわけでもねぇ。むしろ良い方。

黒板に書かれた席の表を見ながら「10」番に移動すると、


「あら隣りはあんた?面白いわね」


隣りに誰かさんの鬼嫁が。
おいおい、嘘だろ、俺は一ヶ月間この鬼嫁と過ごさなきゃいけないのか。

しかも席同士は密着していて、席につくとアンナの近さに心臓がうるさく鼓動する。

こいつのお相手は葉だろ?なんで俺がアンナの隣りなんだ。
葉の席は俺の前列。そっと助けを求めるように葉に目をやると。
なんと葉の野郎、まん太の隣りだからって満足げに微笑んでやがる。

俺と目があうと深刻そうな顔をしながら親指を立てた。
グッドラックじゃねぇよ!アホかテメー!


「まぁ、まぁ。な、ホロホロ、」


葉の無責任さをこんなにも憎んだことはない。


「なんとかなるさ」


くじ運の悪さに涙して

 

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