SOUL EATER book4
□望まれた世界
1ページ/1ページ
ブラマカとソウ椿が死んで転生した後のキドリズの話。
「ひどく詰まらないものだ」
思わず漏らした呟きを聞いてかリズが顔を上げた。
「何がだよ?」
「わからんか」
書類整理をしていたリズの手が止まる。
それから1つため息を吐いた。
「寂しくなったよな」
そしていくつかの書類を俺に投げ渡す
その書類にはかつての友の写真がクリップで留められていた。
「見たくない」
「その書類が送られてきた時にもそう言ってたよ。報告を聞いた時には聞きたくない、ってまるで子供みたいにさ」
まさかみんな死ぬなんてな。
リズは事も無げにそう言った。
「残ったのは結局私たち3人」
「……」
「また3人に戻っちまった」
「こんな世界っ」
望んでいなかった!言い終わる前にリズの指先が俺の唇の上に乗った。
儚げに揺れる双眸が、それ以上は言うなと、訴えていた。
泣きたいのは俺もだよ。
この世界の上に立つ者としてそうは言えまい。
俺は大人しく口をつぐんだ。
「みんなみんな好きだった」
「……」
「こんなことなら」
「言うな。もういいリズ。整理は俺1人でやる。疲れてるんだ。俺たちも歳をとった」
「馬鹿言うなよ」
俺の言葉にリズが鼻で笑う。
「歳をとってるのは私とパティだけだ」
彼女の刻み込まれた皺が、濁った青い瞳が、
俺1人を置いていく。
望まれた世界