SOUL EATER book4

□ノイズが混じった
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ザラザラ気分の悪い音が耳のそばで聞こえる。
布団に急いでくるまって耳を塞いでも聞こえてくる音に俺は顔をしかめた。
寝よう、寝よう。
こんな時は寝てしまった方がいい。

だがいくら待っても睡魔は訪れず、
依然聞こえるノイズに俺はより一層全身に力をこめた。


「ぶらっ――す―ぁ」

「……」


塞いだ耳の外からマカの声が聞こえた。
ノイズのザラザラ音が一層強くなる。上手くマカの声が聞き取れない。
割れそうな頭を押さえながら俺は上半身を起こした。

声の聞こえてきた方へ目をやるとマカと視線が重なる。
マカが安心したように微笑み、その一瞬だけノイズが綺麗になくなった。

だがすぐに訪れるザーーという音に俺はまた顔をしかめた。
俺の表情を見てかマカの体がこわばる。

あぁ違うんだ、眠たくてな。
そう言うとマカは安心したようにベッドに潜り込んできた。


「さっき――ご――」

「あ?…あぁ」


ノイズがうるさくて何を言ってるかよく聞こえず、
聞き取れた単語とマカの表情をつなぎ合わせて、恐らく先ほどのことを謝ってるんだと気付いた。


「死んでるみたいっつってくれたな」

「……」

「前の俺がどんな風に生きてたか知らねぇけどよ」

「…――」

「俺だってな一生懸命生きてんだよ」

「ごめん」


急に鮮明に聞こえた声に驚く。
さっきまで耳元で騒いでいたノイズはいつの間にか小さな音に変わっており、
マカはというと俺の腹辺りに顔を押し付けていた。


「ごめんブラック☆スター」


そっと背中に腕を回してやると、小さくなったノイズは綺麗さっぱりなくなった。


「前のブラック☆スターが私には眩しくて羨ましくて尊敬してて、だってあの時はほんとに強かったから」

「今の俺はそんなに頼りないか」

「うん」

「悪かったな」

「うん」


ザラザラとしたあのいやな音をもう聞かなくて済むのなら、とマカの背へ腕を軽く回す。
酷い安心感が自分を襲い、同時に睡魔も訪れる。
まるでマカが精神安定剤みたいだ。

…こんな生意気なガキから安心感を得るのも癪に障るが、


「……うるせぇのが聞こえねぇならなんだっていいや」

「?」

「こっちの話だよ」


マカの肩に顔をうずめ、背へ回した腕に力を込めた。


ノイズが混じった



 

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